(回答者:帝京大学医学部内科学教授・寺本 民生)
相談者は総コレステロール値(TC)が高く(220mg/dl以上)、HDLコレステロール(HDL‐C)が高いと判断されます(通常HDL‐Cは40〜60mg/dl)。そこで、相談内容を3点に分けて考えたいと思います。第1に、本当にTC値が高くて問題なのかということ。第2にHDL‐Cがなぜ高いのかということ。第3に、このような場合の生活上の注意です。
TC値が基準値を超えていますが、これは異常とはいえません。TCが問題になるのは動脈硬化がおこりやすくなるということからです。しかし、最近になって、TCよりもLDL‐C(悪玉コレステロール)が問題であることがわかってきました。逆にHDL‐C(善玉コレステロール)には動脈硬化予防効果があると考えられています。
さて、相談者のLDL‐Cを計算してみますと127.4mg/dlとなります。日本動脈硬化学会では、LDL‐Cは140mg/dl以上を動脈硬化がおこりやすい高脂血症とするとしていますから、相談者の場合、高脂血症にはあてはまらないことになります。今日、あまりにもTC値が一般的になっているため、TC値で判断することが多いのですが、LDL‐Cを計算して、それで判断していただくのがもっとも大切なことです。
じつは、わが国はHDL‐Cの高い人が多い特殊な国でもあります。ですから、善玉のHDL‐Cを含んだTCではなく、きちんと計算してLDL‐Cをみることがとても大切なのです。
そこで、第2の問題、なぜHDL‐Cが高いのかということです。前記の話と関連しますが、わが国では、HDL‐Cの値を左右するあるたんぱく質が遺伝的に低い人が大勢います。このたんぱく質が低いとHDL‐Cが高くなります。
このような人が、動脈硬化をおこしやすいのか、おこしにくいのか十分な結論はでていません。しかし、今のところ、HDL‐Cが高いことでそれほど心配することはないと思います。むしろ、低い場合が問題となり、HDL‐Cが40mg/dl未満の方は動脈硬化になりやすいことが知られています。
第3の、生活上の注意点です。一般的には、注意をすべきことはありません。ただ、1年に1度は検査をして、LDL‐Cが高くなっていないかを調べていく必要はあります。これは、まったく正常の人でも同様で、LDL‐Cが高くならないような注意として、食事と運動があります。
ともかく、体重を標準体重にしておくことがもっとも重要です。標準体重は「身長(m)×身長(m)×22」の式で計算できます。
身長が160cmの方であれば約56kgと計算されます。これを維持する程度の運動と食事であれば問題ないと思います。
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