(回答者:神尾記念病院耳鼻咽喉科外来医長・有田 実織)
口内炎は耳鼻科の外来でもよく診る疾患です。もっとも一般的に見られる反復する口内炎は、アフタ性口内炎と呼ばれます。アフタは、直径1cm以下の円形または楕円形の境界が明らかな病変で、中心部は白色の水疱をつくり、その周囲が発赤しています。この水疱が破れると出血することもあります。
好発部は、口唇粘膜、頬粘膜、口腔底粘膜で、その病変は1個から数個できるだけで、2週間以内に瘢痕などを残すことなく治癒します。単純性のアフタであれば、症状は疼痛が主であり、下痢や嘔吐といった消化器症状、あるいは発熱といった全身症状は現れません。
治療としては疼痛に対して鎮痛剤を使用し、病変にステロイド軟膏をぬります。
相談者の場合、2週間ほどで治癒すること、痛みが主症状であることから、アフタ性口内炎と考えられます。原因として細菌やウイルス、真菌(カビ)の感染、アレルギーを含む自己免疫性疾患、偏食などにともなう栄養障害、遺伝性などさまざまな要因が報告されています。しかし、いまだに明確な原因はわかっていません。このため、再発の予防法についても確実な方法がないのが現状です。
相談者の場合も、ご自身でいろいろと考えられて工夫していらっしゃるようですが、きっかけとなる“何か”を突き止めるために、口内炎の発症前後の生活状況、摂取する食物やくすりの種類など日頃から気をつけて観察し、再発の原因を予想することができれば、予防も可能かと思われます。
また、アフタ性口内炎が多発しているわけではないようですから、ステロイド軟膏を病変に使用することで治癒の経過を早めることも期待できます。
そのほか、再発の予防として口腔内を清潔に保つためにうがいをすることは大切です。
この相談者の場合、とくに全身症状をともなっているわけではないようですが、アフタ性口内炎は全身疾患の部分症状として現れることがあります。
たとえば、治癒に数週間以上を要する場合や、病巣が深く、また治癒機転でも大きな瘢痕が残存している場合には、細菌やウイルス、真菌(カビ)の感染や、さらには悪性腫瘍の可能性も否定できません。この場合は細菌学的検査や組織学的検査が必要になります。
また、眼症状、皮膚症状、消化器症状をともなっている場合には、ベーチェット病という眼、皮膚、粘膜が系統的におかされる自己免疫性疾患の部分症状と考える必要もあります。ただしこの疾患の場合、60%ほどの症例で再発性のアフタ性口内炎が初発症状であることが多く、他臓器の症状をともなっていない時期に診断をくだすことは比較的困難であるため、経過観察が必要になります。
そのほかにも、皮膚症状をともなっている場合は水疱症、下痢などの消化器症状をともなっている場合は潰瘍性大腸炎などさまざまな臓器と関連した疾患の可能性も考えなくてはなりません。
まずは口腔内を清潔に保つように心がけ、それでも再発をくり返してご心配でしたら1度、耳鼻咽喉科の専門医を受診することをおすすめします。
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