(回答者:北里大学病院消化器内科講師・渋谷 明隆)
検診や人間ドックに超音波検査が導入され、胆のうに小ポリープが数多く発見されるようになりました。その多くは良性の隆起性病変ですが、重要なことは胆のうがんとの鑑別です。胆のうの良性隆起性病変(良性腫瘍、腫瘍様病変)には以下のものがあります。
▽腺腫……単発するポリープ状の隆起で、茎があり(有茎性)、大きさは5〜10mmのものが多くみられます。一部に異型細胞(正常とがんとの境界の細胞)をともなうことがあり小さいがんとの鑑別が困難です。
▽化生性ポリープ……腫瘍ではなく過形成の上皮からなる隆起性病変です。茎がないか(無茎)またはくびれがなく(広基性)、単発または多発する5mm前後の隆起です。
▽炎症性ポリープ……炎症による隆起性病変で大きさは5mm前後で、無茎性から有茎性までいろいろな形態を示します。
▽コレステロールポリープ……胆のう粘膜に沈着したコレステロールを貪食した泡沫細胞が集まってポリープ状に隆起したもので高頻度にみられます。しばしば多発し大きさは5mm以下のものがほとんどです。
▽腺筋腫症……胆のう粘膜の増生、筋層の肥厚などを特徴とする病変で胆のう内の無茎性隆起としてみられます。
胆のうの良性隆起性病変の診断には大きさが重要です。5mm以下の多発する胆のうポリープはほとんどがコレステロールポリープと考えられ、相談のケースはこれに相当しますので、これについてもう少し詳しく解説します。
コレステロールポリープに症状はなく、超音波検査で偶然に発見されます。頻度は5〜10%と高く、しばしば胆のう結石(コレステロール結石)を合併します。超音波所見は茸状・いちごの実状・金平糖状と表現され、エコーレベルは肝実質より高いのが特徴です。
コレステロールポリープと診断できれば治療の必要はなく経過観察します。ほとんどが5mm以下ですが、大きさが5〜10mmの単発の隆起では早期がんとの鑑別困難な場合があります。こうした場合、3〜6か月ごとに超音波で経過観察を行います。大きさが10mmを超え表面がゴツゴツし、茎が太いものでは、腺腫またはがんを疑う必要があります。
がんとの鑑別に苦慮する場合は超音波内視鏡(先端に超音波プローブを装着した内視鏡、胃内から胆のうを描出することができる)やカラードプラ超音波検査(血流を検出できる)、造影CT(コンピュータ断層撮影)検査が行われます。
コレステロールポリープの90%は経過観察しても大きさに変化ありませんが5%は増大するとされています。増大速度は非常にゆっくりで、2年以上でも3mm以上増大することはありません。増大速度の速いものはがんを疑います。画像診断でがんとの鑑別困難なもの、胆石の合併をみるもの、経過観察中に増大して10mm以上になったものなどは手術の対象となります。
胆のうポリープでは胃や大腸のようにポリープだけを切除することができないので、胆のう摘出術を行います。最近では開腹することなく手術のできる腹腔鏡下の胆のう摘出術が普及しています。
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