(回答者:兵庫医科大学消化器内科教授・松本 誉之)
数か月にわたり食べたものがのどや胃につまった感じがするということですが、体重がそんなに変化していないことから、食べ物が完全にとおらないということはないようです。
ここで大切なのは、食べたものが本当にとおりにくくなっているのかを調べることです。とおりにくくなっているなら、どんな症状がでているのかを知ること。実際に食道や胃がせまくなったりつまったりしているのか、見た目では大きな変化がないにもかかわらず食べたものの通過がうまくいかなくなっているのか、あるいは食べたものはふつうにとおっているのに吐きけなどの症状がでているのか、などのことが考えられます。
食道や胃が実際にせまくなって食べたものがとおらなくなる病気としては、食道がんや胃がんなどがあります。ただ今回の場合、数か月前から症状に大きな変化がなく体重にも大きな変化がないようなので、可能性は高くないでしょう。
そのほか考えられる病気のなかで、もっとも可能性の高いのは、機能性胃腸症があります。この病気は、胃にいろいろな症状がでるにもかかわらず、胃カメラなどで検査しても特別大きな病気(潰瘍やがんなど)は見つからず、食道や胃の運動の調節がうまくいかないことから名づけられた病気です。また少し似た病気としてはGERD(食道胃逆流症)というものもあります。
【ストレスが関係する機能性胃腸症は増加傾向に】
以前、このような症状は、慢性胃炎として片づけられていたこともありますが、最近ではストレスなどもかなり関係するといわれていて、まだよくわかっていないことも多い病気です。しかし、現代社会はストレスが増加傾向にあることから、この病気を患う人も増えて、専門医などにも広く認知されるようになってきました。
【まずは消化器内科で精密検査と治療を】
まずは原因を確定するために、消化器内科を受診して、精密検査と治療を受けられることをおすすめします。
そこでがんなどの大きな病気ではないと診断してもらったうえで、機能性胃腸症であるならば、消化管運動機能調節剤などをうまく使い分けた治療がよいと思います。
そのほかに、食道の下部がせまくなるアカラシアという病気も考えられます。食道がんなどでは、固形物からとおらなくなるのですが、この病気では水分でもとおりにくいという特徴があります。
まれな病気ですが、なんらかの炎症などのあとで食道に膜のようなものができることもあり、食道Webなどといわれます。
また、消化器以外の病気が原因で、食道や胃の運動が悪くなり、結果として吐きけなどの症状がでてくることもあります。糖尿病や甲状腺機能低下症(寒がりになったり、首のところに腫れものがでたりすることもある)などでも同じような症状のでることがあります。この点は血液検査で甲状腺ホルモンなどを調べることでほぼ診断できます。このような場合は、内分泌や代謝などを専門にする科と消化器内科が共同で治療にあたることになります。
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