(回答者:中山皮膚科クリニック院長 中山 秀夫)
相談者の疾患は温熱じんましんの軽症と思われます。からだが温まるたびに出現すること、かゆみのでることがその根拠です。蚊が刺さないのに蚊が刺したときのような皮膚の赤味(紅斑)、わずかな腫れ(膨疹)、かゆみがでるのがじんましんです。
じんましんの原理は、早く反応のでるタイプのアレルギー反応(即時型アレルギーまたは I型アレルギー)です。アレルギーを引きおこす物質をアレルゲンといいますが、皮膚にアレルゲンが侵入して肥満細胞という免疫細胞の表面のIgEという抗体に結合すると、肥満細胞が壊れて、中のヒスタミンという物質を入れた粒々が周囲の組織に飛び散ります。
そうするとヒスタミンが血管を拡げて皮膚が赤くなり、血管から水分がでてきて軽い腫れがおこり、たいへんかゆくなって、じんましんがおこります。
【アレルギーによるものと物理的なものが原因でおこるじんましんがある】
じつは蚊が刺したときも、蚊の唾液の中にあるわずかなたんぱく質がアレルギー反応をだすために、刺されて20分ほどすると、あのかゆい腫れがでるのです。ですから蚊は刺すたびに、アレルギーのじんましんをだしていると思ってください。
じんましんの語源はイラクサ(蕁麻)のとげにはヒスタミンが入っているため、イラクサのとげに刺されるとかゆい紅斑、膨疹がでたことに由来します。西欧で認識したこの事実がシルクロードをとおって中国に入り、「蕁麻による疹」の語源になりました。軽く生じると赤く、かゆくはなりますが、腫れは目立たないことがあります。
じんましんの原因、アレルゲンは統計をとって調べると、胃の中のピロリ菌がもっとも多く、ついで家の中のダニ、海水魚に寄生するアニサキス、ついでえび、かに、そば、ピーナツ、キウイなどになります。薬剤で生じることもあります。
一方、アレルギーではなく、温かさや冷たさ、引っかくこと、日光などで肥満細胞が壊れてヒスタミンがでるじんましんがあります。これらは物理的じんましんと呼ばれます。食物や薬剤によるじんましんではひどいと血圧が下がってアナフィラキシー・ショックになったり、呼吸困難になったりしますが、物理的じんましんはふつうそこまでの全身症状はおこりません。より軽症のため、腫れが目立たない例もあります。
【物理的じんましんの場合は薬剤内服による治療が一般的】
アレルギーによるじんましんは、RASTという血液検査やスクラッチテストという皮膚の検査で原因がわかることがあり、抗アレルギー剤の内服以外にも発症予防のできることがあります。しかし物理的じんましんは基本的にはアレルギーではないので、アレルゲンはわからず、薬剤内服で症状を軽減する方法をとるのがふつうです。
アトピー性皮膚炎に長期ステロイド軟膏を塗り続けても、ところどころの皮膚が赤くなり、かゆみがでます。もしも以前からアトピー性皮膚炎があるようでしたら、これが原因とも考えられますので、原因アレルゲンの検討と対策、非ステロイドであるタクロリムス軟膏をつけて、保湿剤でスキンケアを行うとよいでしょう。
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