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[翼状片](06/02/20)

黒目付近まで脂肪の膜がかかっている

 64歳・男性。168cm・61kg。視力は両眼とも0.8。30年くらい前から両眼の中央寄りに脂肪の膜がかかり始め、今では黒目の一部分にかかってきています。最近、眼科の診察を受けたところ、視力も損なわれていないのでとり除くのはもう少し待ったほうがよいという診断でした。手術は痛みをともなううえ、再発しやすいともいわれました。新聞によると、新しい手術法があるとのことですが、最新の状況を教えていただけますか。


症状の進行を知るために定期的に通院を


(回答者:医療法人社団 済安堂 井上眼科病院理事長 井上治郎)

 相談の内容から判断して翼状片と思われます。この翼状片は、瞼裂部(黒目と白目の境界の上下の中央部)の鼻側にできて、しだいに三角状に白い結膜が透明な角膜に侵入します。侵入組織は、非常にゆっくりと瞳孔領に向かってのびていきます。

 原因についてはいろいろな説がありますが、紫外線の刺激が有力な原因と考えられていて、熱帯地域、とくに海岸沿いの地域、戸外労働者に発症することが多いのです。もちろん体質も関係し、若年者よりも中年以降の人に多く見られ、両眼に発症することが多いようで、最近増加しているようです。

 翼状片の初期で角膜への侵入が強くないうちは、コンタクトレンズ装用がむずかしい、美容上いやだという問題があるくらいで、自覚症状もない場合がきわめて多いのです。翼状片がある程度進行すると乱視の発生、さらに視力の低下、さらに進むと眼球運動の制限がおこって物が2つに見えます。

 一定以上はまったく進行しない停止性のケースもありますが、多くは年単位でゆっくりと進行します。

 【手術時期の見きわめが大切。定期的に受診を】

 この翼状片の治療は、点眼薬を使用して症状を軽くすることもありますが、完全に治すことはできません。

 進行してきたら手術です。手術は局所麻酔で、入院しないで15分間で終了します。しかし、手術をしても再発することもあるので、とくに初期に自覚症状の強くないときには手術を受けないほうがよいと思います。

 日頃は、外出時にサングラスを利用して、紫外線をさけてください。黒目の縁がやや白くなったり、周囲が充血しやすく、美容上いやだという理由でなんとかしてほしいといってこられる患者さんが多くおられますが、もう少し辛抱するようにといっています。

 進行してきて、茶目の部分の黒目にかかるようになったら、手術します。あまり進行し、白い結膜が黒目をおおうようになると手術をしても以前の視力にはなりません。また、一定範囲進むと乱視になってきます。

 したがって、手術の時期が大切なので、定期的に眼科医へ行ってください。

 手術はむずかしく、翼状片を単純に除去しただけでは再発率が高く、さまざまな工夫がされています。手術での痛みはありません。1回目の手術で再発すると、2回目を行っても再発する可能性が高く、1回目の手術を工夫する必要があります。

 【手術方法の改善で再発率は減少】

 最近は切った場所を正常な結膜を横からずらしておおい、再発を抑える方法が普及してきました。この方法だと初期でも、またある程度進行していても再発率は10%以下になりました。また、翼状片の増殖を抑えるくすりを術中に使用することも行われてきています。さらに再発した例では、角膜や結膜を移植する方法もあります。

 大切なことは、翼状片を自分で発見したり、充血を生じて不審に思ったら、眼科医を受診して、診療を受けることです。充血止めの点眼を長期に自分の判断で点眼することは、よくありません。

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