(回答者:帝京大学医学部皮膚科教授 渡辺晋一)
目のまわりのくまの原因は、静脈のうっ血という説がまことしやかに信じられていました。しかし私たちが目のまわりのくまを気にして来院する患者さんの皮膚を調べたところ、全員に真皮に黒い色素をつくるメラノサイトという細胞が存在することがわかりました。そこでくまの大部分は、真皮にメラノサイトが存在することによって生じたものではないかと思っています。
メラノサイトは本来皮膚のいちばん浅いところにある表皮に存在するのですが、東洋人ではその表皮の下にある真皮にも存在することがあります。たとえば赤ちゃんのおしりに生ずる青あざは蒙古斑と呼ばれますが、真皮にメラノサイトが存在します。顔に生ずる青あざは太田母斑と呼ばれますが、この場合も真皮にメラノサイトが存在しますので、目のまわりのくまも太田母斑に近いものと考えられます。
【Qスイッチ・レーザーが効果的】
塗りぐすりは皮膚の深部まで浸透しませんので、真皮にメラノサイトが存在するくまには効果がありません。美容整形手術は傷跡を残します。そこでもっともよい治療法はレーザー療法だと思います。ただしレーザーといってもどのレーザーでもよいわけではなく、Qスイッチ・レーザーでなければなりません。Qスイッチ・レーザーのなかでもQスイッチ・ルビーかQスイッチ・アレキサンドライトレーザーがよいと思います。Qスイッチ・Nd:YAGレーザーも有効ですが、これはレーザー治療後の内出血が目立つので、しばらく人前にでられないかもしれません。もちろんほかのQスイッチ・レーザーでも、レーザー照射後に目のまわりで皮下出血が見られることがありますが、若い人では皮下出血はあまり生じません。
いずれのQスイッチ・レーザーも照射時に強い痛みがあり、とくに目のまわりでは神経も多いことから、痛みに耐えるのがたいへんです。そこで目のまわりに麻酔の注射をしてから、レーザー治療を行うこともあります。またレーザー照射した部位が数日間腫れ、1〜2日して照射部位にかさぶたができることが多いので、それを隠すために7〜10日ほど眼帯をする人もいます。
【照射1か月後をピークに徐々にうすくなる】
レーザー照射直後から洗顔をしてもよいのですが、照射部位をこすったり、照射部位には化粧はできません。かさぶたは通常レーザー照射後7〜10日すれば、自然にはがれるので、その後は化粧をしても大丈夫です。
またレーザー治療は皮膚に炎症をおこすので、かさぶたがとれてから、徐々に茶色っぽくなり、レーザー照射1か月後にはかえって茶色の色調が濃くなることもあります。しかしこの色も照射1か月後をピークに徐々にうすくなるので、心配はいりません。そしてこの茶色い色調がとれてから、通常は3〜4か月以上間隔をあけてから、2回目の治療を行います。
このような治療を5〜6回行えば、目のまわりのくまはほとんどわからなくなります。
いずれにしてもレーザー治療は痛いこと、しばらく化粧できないこと、一時的に色が濃くなることを理解してください。さらに治療には保険は適応になりません。
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