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[顎関節症](06/07/20)

数か月前から食事のときにあごがガクンと鳴る

 62歳・女性。今年に入ってから食事の際に口を開けると左側のあごがガクンと音がするようになりました。それから数か月が経ちますが、症状は変わりません。一度受診したほうがよいでしょうか。またふだんからどのようなことに気をつけたらよいか教えてください。


痛みがないようなら治療の必要はない


(回答者:九州歯科大学病院顎口腔欠損再構築学教授 鱒見進一)

 顎関節で発生する音の種類には、カクン、ポキンというクリック音、ジャリジャリというクレピタス音のほかに、口を大きく開けたときにガクンというエミネンスクリック音と呼ばれるものがあります。

 【上あごと下あごの骨の間の部位が鳴る】

 クリック音は口を開け始めると早期に発生し、人によっては口を閉じる際にも同様の音が生じます。この場合は相反性クリック(往復性のクリック音)といいますが、いずれの場合も音の発生原因は、関節円板といわれる顎関節を構成している上あごと下あごの骨の間に介在している組織にあります。正常な場合、関節円板は下あごの骨の関節部分(下顎頭)に帽子をかぶるように乗っていますが、なんらかの原因、たとえば夜間の歯ぎしりやくいしばりのほか、歯科治療による急激な噛み合わせの変化などによりその位置がずれると、口を開けるときにクリック音とともに正常な位置にもどり、閉じるときにクリック音とともにずれることをくり返します(関節円板位置異常)。

 この場合、口が開く量(最大開口量)は正常範囲(上下前歯間距離40mm以上)ですので、顎関節の痛みなどがなければ治療対象とはなりません。

 ただし、症状が進行すると音は消失しますが口が開かなくなるクローズドロックという症状が現れることがありますので、痛みがあったり、口が開かなくなった場合には受診をおすすめします。

 つぎに、クレピタス音についてですが、これは下顎頭の形態が変形することによって生じる場合が多いようです(変形性顎関節症)。一般的には高齢者に多いようですが、近年では若年者にも見られます。骨が変形しているため簡単に症状が改善することは望めませんが、音だけであればときが経つにつれて下顎頭が環境に適応して変化し、問題なくすごすことが可能です。

 ただし、痛みをともなうようであれば治療が必要ですので受診をおすすめします。

 クリック音やクレピタス音が生じる場合の、日常的注意事項としては、音がする側で硬いものを噛んだり、歯をくいしばることをさけることが重要です。

 一般的には音がする側でいつも食事をするくせがある人に多く見受けられますので、左右の歯をうまく使い分けて食事をすることが肝心だと思います。

 【ガクンという音は顎関節のゆるみが原因】

 一方、エミネンスクリック音は前述の2つの音とはまったく異なるものです。これは関節がゆるくなったために通常以上に口が開いてしまい(上下前歯間距離55〜60mm以上)、下顎頭が関節から飛びだす際に大きく明瞭に発生する音です。小さい頃から大きな口を開けて食べ物をほおばったり、拳を口の中に入れて遊んでいたり、カラオケで大声で歌い続けたりする経験がある人に多く見られます。

 また、加齢とともに硬いものを食べなくなってくると、咀嚼筋(食事する際に使う筋肉)が衰えてしまい、これによって関節がゆるくなる場合もあります。

 いずれにせよ、大きく開けることをさけ、よく噛んで咀嚼筋を鍛えることが肝心です。治療の必要性はありませんが、習慣を改善しない場合にはときとしてあごがはずれること(脱臼)がありますので用心してください。

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