(回答者:札幌医科大学医学部整形外科教授 山下敏彦)
現代社会において肩や首のこりを訴える人はきわめて多いといえます。最近の統計でも、肩こりは腰痛と並んで、もっとも頻度の高い症状とされています。
症状が発生する部位は、肩だけでなく、首や後頭部、さらには背部におよびます。
もっとも多い原因は、過労や不良姿勢により、頸部の筋肉に対して過剰なストレスが加わることです。その結果、筋肉の血行が悪くなり、疲労物質が蓄積し、こり感や違和感をおこします。筋緊張が強くなると、相談者のように息苦しさや鈍痛などをともなう場合もあります。
また、運動不足や加齢による筋力の低下や、寒冷などの環境的要因、仕事や家庭、学業などにおける心理的なストレスも発生因子として重要であるとされています。
【ストレッチ体操が有効】
一方、同様の症状は、全身のいろいろな病気にともなって発生する場合もあり、症候性肩こりと呼ばれます。そのなかで多いのは、頸椎椎間板ヘルニアや頸椎症などの背骨の疾患にともなうものです。この場合、手のしびれや筋力低下をともなうことがあります。
また、50肩などの肩関節疾患も原因となります。このほか、心疾患(高血圧、狭心症など)や消化器疾患(胆嚢炎、胆石、膵炎など)では、内臓関連痛というメカニズムで肩こりと同様の症状をおこします。
さらに、歯科疾患(咬合不全、虫歯など)、眼科疾患(乱視、近視、眼精疲労など)、耳鼻咽喉科疾患(慢性扁桃炎など)、精神神経科疾患(うつ病、心身症など)も原因となりえます。
対処法としては、まず肩や首を蒸しタオルで温めたり、入浴して血行をよくすることが効果的です。また図に示すような、首や肩のストレッチ体操も有効です。湿布薬やマッサージもよいでしょう。
予防のためには、日常生活や仕事上の姿勢に気をつけます。猫背や首を前に突きだした姿勢や、前かがみでの長時間の作業は改めるべきです。仕事や勉強の合間に適切に休憩をとり伸びや体操をすることや、生活のなかに気分転換やリラクゼーションをとり入れることも大切です。
【改善しない場合は整形外科で検査を】
このような対処法で症状が軽減しない場合や徐々に悪化する場合は、まず背骨や肩関節が原因の症候性肩こりを疑い、整形外科でエックス線などの検査や診察を受けるとよいでしょう。その場合、息苦しさもともなっていることなど、症状を的確に医師に伝えることが大事です。
検査と並行して、薬物療法やホットパック・電気療法などの理学療法も受けることができます。
整形外科的検査で異常がなく、医師により内臓疾患などの疑いがあると判断されれば、内科やそのほかの診療科に紹介状を書いてもらい受診するとよいでしょう。
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