(回答者:昭和大学藤が丘リハビリテーション病院整形外科助教授 筒井廣明)
五十肩は医学的には「肩関節周囲炎」といいます。肩関節の運動をコントロールしている腱板という筋肉や腱、関節包などの肩関節の組織が壊れ、肩の痛みや運動制限が生じる病気です。50歳代の人に多いことから五十肩と呼ばれますが、40歳代、あるいは60歳代でおこる人もいます。
腱が切れたり炎症が強い場合には、痛みも強く、安静にしていても痛みますし、痛みのために夜眠れなくなることもあります。腕を上げたり、後ろに回したりする動作ができなくなるため、日常生活にもさまざまな障害がおこります。
肩関節は、関節のなかでもっとも可動域(動かせる範囲)が広く、非常に複雑な構造になっています。五十肩がなぜおこるのかはまだよくわかっていませんが、加齢によって肩関節周辺の組織の変性がすすみ、傷つきやすくなることが大きな要因であると考えられています。
【無理に動かさず肩関節を安静に】
相談者は症状がでてから2年が経っており、痛みと運動制限が高度ですので、今一度、仕切り直しが必要かもしれません。治る見込みはあると思いますが、あせらず時間をかけることが必要です。五十肩の患者さんは、症状がでてから早い時期ですと、運動療法を中心とした治療で、平均6か月程度で約7割が治ります。
痛みがあるということは肩の関節にすり傷のような炎症があると考えてください。すり傷を治すには強くこすらないことが第一ですので、日常の生活動作でも痛みのでないような使い方を工夫してください。
痛みの強い間は、肩関節を安静にして痛みをやわらげることが大切です。肩や腕を無理に動かそうとせず、痛みが強くなるような動作をさけるようにします。肩がリラックスできるように三角巾で肩をつって局所の安静を図ることも大切です。
【無理な運動療法は逆効果になる】
消炎鎮痛薬(湿布、内服、座薬)や注射などの薬物療法も痛みの軽減には有効ですが、日常の生活で痛みのでる動きを続けていてはくすりの効果もでません。
運動療法も、無理な動作をすると、かえって悪化させてしまいます。痛みが強くならない程度の運動を行い、徐々に肩関節の動かせる範囲を広げていくことが大切です。
運動療法では振り子体操(アイロン体操)がよく知られていますが、かえって炎症を悪化させてしまうことがあります。本来はからだを前に曲げて腕全体の力を抜くだけの運動療法で、決して前後、左右に振り子のように動かす体操ではありません。激しい痛みが治まってから行いますが、力を抜いて腕をぶらっとすることができたら、痛みのでない範囲で軽く動かしても構いません。
また、いすに座り、机の上に両ひじをのせ、軽くテーブルの上を拭くようにリズミカルに少しの範囲を動かす運動などが、肩の関節や腱板にとって効果的な運動です。力を入れたり大きく動かそうとして痛みがでては逆効果です。必ず自分のからだに問いかけながら無理をしないで行ってください。
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