(回答者:山口大学医学部附属病院総合診療部 小林梨江)
長い間さぞお悩みであろうかと推察いたします。さて、ご質問にある症状をまとめますと、FD(FunctionalDyspepsia:消化管機能異常症)と呼ばれる状態が考えられます。
口から食道・胃・十二指腸はては直腸・肛門まで、その形が一連の管状の構造をしていることから、まとめて消化管と呼ばれています。FDは、消化管のはたらきや動きに異常があるか消化管の感覚を担う神経が知覚過敏な状態にあることが原因と考えられています。吐き気や腹部膨満感・胃もたれ・食欲不振・腹痛などの症状を生じ、身体診察、血液検査や胃内視鏡検査などで、それらの症状を引きおこす異常が認められないものをいいます。症状から3つの型に分類されています。(1)吐き気や腹部膨満感、胃もたれ、食欲不振などの症状を示す運動不全型、(2)空腹時や夜間にみぞおち付近が痛み、胃潰瘍のような症状を示す潰瘍型、(3)どちらにも当てはまらないがつねにいずれかの症状をもち、症状が一貫しない非特異型の3つです。
【生活リズムを整えても効果がない場合はくすりを服用】
ご質問の症状から推察すると、運動不全型に分類されると思われますが、あくまでも胃潰瘍や胃がんなど症状の原因となる他の病気がないことを確認したうえでの診断が必要です。胃下垂であるか否かはあまり問題にされないようです。
症状はストレスや過労、食事内容などが引き金になることが多いため、ストレスや睡眠、食行動などの生活リズムを整えることが重要となってきます。それでも効果がない場合には、胃や腸などの消化管の運動機能を改善するくすりや胃酸の分泌を抑えるくすりなど、症状に応じたくすりで症状を軽快させることができます。また、ストレスなど、あなたをとりまく状況の影響も考慮し、必要ならば精神的なケアや治療を行うことも症状を大きく改善させます。
【若い頃からの症状とはいえ、加齢も考慮に】
一般に加齢によりいろいろな機能が若いときと比較して衰えてきますが、消化管の場合も同様です。74歳という年齢を考慮すると、若いときとは症状をおこす成因が少し異なってきていることも考えられます。
加齢という要因はいろいろな点で考慮が必要です。がんや胃潰瘍、糖尿病など、ほかの病気にかかっている可能性も圧倒的に高くなります。高血圧や高脂血症・糖尿病などをもっていると動脈硬化がすすみやすく、からだに流れる血液の流れも減少してきます。脳の血流低下は、意欲の低下など脳機能の低下を引きおこしたり、ストレスに対する抵抗力の低下を招くこともあります。また、腸管の運動を司る神経の機能が衰えていることも考えられます。他の治療で服用されているくすりが胃のはたらきに影響を与えている場合もあります。一度かかりつけの医師か、お近くの専門医に相談されるとよいでしょう。
|