(回答者:横浜市立みなと赤十字病院耳鼻咽喉科 佐久間康徳)
【慢性的に声がかすれている。のどのケア法はあるか】
声のかすれは声帯の振動がなんらかの原因で障害されておきる症状です。一過性の声がれはかぜをひいたときなどによく見られ、炎症による声帯の充血、出血や浮腫、粘膜上皮の剥離がその原因となります。このような場合はのどの安静を保つことで短期間のうちに炎症が治まり、もとの声にもどります。一方、慢性的な声がれは声帯の突起、声帯自体の硬化、萎縮などが原因となっています。代表的な疾患としては腫瘍、声帯ポリープ、声帯結節、慢性喉頭炎、声帯みぞ症などがあげられます。
【症状から声帯結節か慢性喉頭炎が疑われる】
ご相談のケースは、教師というのどを酷使する職業であることを考慮すると、声帯結節、慢性喉頭炎、声帯ポリープなどが考えられます。ただし手術をすすめられていないようなので、声帯結節か慢性喉頭炎のどちらかだと思われます。また、声帯結節でも悪化している場合は手術をすすめられることがあるので、声帯結節であったとしても軽度の病変なのでしょう。
これらの疾患であれば、のどの安静を守ることがいちばんの治療法です。そのほかに生活習慣として喫煙や過度の飲酒も悪化の原因になるので、それらがある場合は控えることも必要です。また、現在の職場の環境はわかりませんが、小学校の教師であれば今後、担当学年の変更や教室内でのマイク使用についても相談してみてはいかがでしょう。
仕事柄のどを休めるのはむずかしいとのことですので、ご質問にあるようにのどに負担をかけない発声法を身につけるのは治療としても有効です。悪化防止と改善のために音声治療を受けることをおすすめします。発声法といっても、歌手が行うようなヴォイストレーニングではなく、ヴォイスセラピー、つまり治療ですので、一般的に認識されている発声訓練とは異なるものです。
【耳鼻咽喉科医と言語聴覚士が治療にあたる】
治療にあたっては、まず内視鏡を使って声帯の異常がないかを確認します。このとき、のどに負担をかける発声をしていると特徴的な所見を示すことがあるため、その有無も確認します。さらに、喉頭ストロボスコープという特殊な器械を使い、声帯の振動をスローモーションで見ます。この器械は見た目でわからない声帯振動の(1)規則性、(2)左右の対称性、(3)振幅、(4)声帯粘膜の波動運動、(5)声帯閉鎖などを観察できます。これらの声帯所見をもとに言語聴覚士が治療を行います。
声帯の状態や適切な発声方法は人によって異なります。最適な治療を受けるには、音声治療を行っている医療機関を受診し、耳鼻咽喉科医と言語聴覚士に相談されるといいでしょう。いずれにせよ、声がれは短期間で完治するものではありませんので、気長にとりくむことが大切です。
最後にのどのケア方法ですが、まずは正しい発声を行うことです。もちろんかぜの予防やのどの乾燥を防ぐことも、症状を悪化させない目的としては有効です。しかし、あめをなめたり、から咳をするなどは一時的なもので、根本的な改善方法ではありません。
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