(帝京大学医学部歯科口腔外科学教室助手 田辺陽子)
【歯周ポケットが5mm。セルフケア法を教えてほしい】
歯周病は歯の表面につく細菌のかたまり(歯垢:プラーク)によっておこる歯の周辺組織の病気です。歯肉の炎症による出血、腫れを特徴とする歯肉炎と、歯を支えている歯槽骨が破壊される歯周炎に分けられます。
歯と歯肉との間の溝(歯肉溝)の深さは健常者で1〜2mmであり、歯周病にかかって深さが3mm以上になった場合に歯周ポケットと呼ばれるようになります。つまり歯を支える歯槽骨や、歯と歯槽骨をつなげる繊維の歯根膜がプラークに含まれる細菌により破壊され、歯と歯肉の間にすき間ができてしまったものが歯周ポケットです。歯周ポケットが5mmでは、歯を支える骨(歯槽骨)の吸収や歯の動揺などが多少おこり、軽度から中等度の歯周炎に分類されます。
【歯周病は放置しておくと全身疾患の原因に】
複数の細菌のかたまりであるプラークは、さまざまな全身疾患にかかわるといわれています。とくに糖尿病との関係は深く、歯周病原性の細菌や細菌毒素は炎症性たんぱく質をつくりだし、これが糖尿病の進展や発病にかかわっていると推測されています。また、糖尿病があると歯周病にかかりやすくなります。
また心臓弁膜に障害がある場合は、歯周病菌が血液中に侵入し、その部位に付着することで細菌性心内膜炎を引きおこしたり、動脈内壁に付着すれば、動脈硬化にかかわることもあります。妊娠時も歯周病菌による毒素が原因で妊娠トラブルを引きおこすことがあるので要注意です。そして、喫煙、ストレスなどはからだの抵抗力を弱める原因として報告されています。歯周病に全身的なリスクの要素が加わると、歯周組織の炎症をより悪化させてしまいますので、からだの抵抗力を低下させないよう、全身の健康について注意することが必要になります。
【適したセルフケア法を見つけることが重要】
プラークコントロール(歯垢を確実にとり除くこと)には、使用する歯ブラシ選びがとても重要です。合わない歯ブラシを使用すると歯肉を傷つけたり、プラークが十分除去できないことがあります。
代表的なブラッシング法にはバス法(歯ブラシの毛先を歯と歯肉の境目に45度に当てその位置で振動させる)、スクラッビング法(歯ブラシの毛先を歯と歯肉の境目に90度に当ててその位置で振動させる)があります。歯ブラシだけでも歯の表面はきれいになりますが、歯と歯の間の歯面にはかなりの量のプラークが残っていることが多いため、デンタルフロスや歯間ブラシなどの補助的清掃用具を併用することも効果的です。
適切なブラッシング法は1人ひとり異なりますので、歯科医師、歯科衛生士と相談しながらご自分に合った歯ブラシや補助的清掃用具、ブラッシング法を見つけることが大事です。そして食後は必ず歯みがきを行い、1日1回は十分に時間をかけてていねいに口の中を清掃することを毎日続けていくことです。
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