[顔面に帯状疱疹](07/02/10)顔面に帯状疱疹ができ、顔の左側半分に痛みがあります。 鍼治療の効果は個人差が大きいが、治療法の1つではある (東京女子医科大学附属東洋医学研究所鍼灸副師長 吉川信) 帯状疱疹は、体内の神経節(神経細胞と神経線維が集まって太くなった部分)などに潜伏していた水痘帯状疱疹ウイルスが、さまざまな要因によって再び活発に動きだして増殖し、水疱や痛みなどの症状をおこす病気です。 最初にこのウイルスに感染すると、水痘(みずぼうそう)を発症しますが、なかには不顕性感染といって症状が現れない場合や気づかずに感染しているケースもあります。水痘のときに出現した皮疹の数が多いほど、神経節に潜伏するウイルスの量が多いと考えられています。
【発症した場合は合併症の注意が必要】 帯状疱疹は多くの場合、発疹出現の数日前から皮膚の疼痛(ズキズキしてうずくような痛み)や知覚異常などの症状があります。この段階で医療機関を訪れる方もいますし、鍼灸治療院を受診する方もいます。 一般的には水疱が出現して10〜15日後に、かさぶたができ(痂皮化)、それが脱落し治癒するという経過をたどります。 しかし、水疱を確認し、帯状疱疹が疑われた場合には、鍼灸治療を行うよりも現代医療の治療を最優先させたほうがよいと考えます。それは合併症の発生を防ぐため、早期に適切な治療をすることが必要と考えているからです。 帯状疱疹は胸背部、腰腹部、頭部からの顔面部の順に多いとされています。今回のケースのように顔(三叉神経領域)に出現した場合には視力低下などの重篤な眼の症状を合併することがあります。そのほか、部位によって顔面神経麻痺、めまいや耳鳴りなどを合併することもあり、首より上に生じた帯状疱疹は注意が必要です。 また、帯状疱疹を発症する頻度は、年齢が高くなるにつれて増加する傾向にあります。とくに高齢者が発症した場合は早期に適切な治療を行わないと、帯状疱疹後神経痛の合併症のでる頻度が増加するとされています。 帯状疱疹後神経痛は、ときに耐えがたい痛みが持続する病気で、非常に難治であるという特徴をもっています。したがって、いかに帯状疱疹後神経痛への移行を防止するかが大きな課題であり、早期治療が重要です。 このほか、炎症の程度が高度であると、運動麻痺がおこったり、尿閉(尿がでなくなる)がおこったりする場合もあります。このような重篤なケースは入院による治療が必要です。
【鍼は鎮痛効果とともに治癒機転にも影響あり】 帯状疱疹が疑われた場合、まず医療機関を受診することが前提となります。鍼は鎮痛作用、自律神経調整作用、免疫賦活(免疫力を活性化する)作用、リラクセーション作用、循環機能の改善作用などのさまざまな効果が確認されています。 しかし、鍼に対する反応は個人差が大きいことが特徴としてあげられます。 帯状疱疹に対する鍼治療は、経過中に生じる「疼痛」にもちいられることが多く、消炎鎮痛薬や神経ブロックなどの治療を受けても痛みの改善に満足しない、またそのような薬剤が使用できない方などがおもな対象になっています。 鍼治療は鎮痛効果を期待できる治療法の1つといえます。ときに治癒までの経過が短縮されたと思われるケースも見られますが、治癒機転(病気が自然に治るからだのしくみ)におよぼす影響などを含め、十分に検討していく必要があると考えます。 ご感想・ご質問
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