[くすりの服用と月経不順](07/03/30)長い間、抑うつ症状と不安、緊張のため心療内科に通院し、くすりを服用しています。36歳・女性。 ドグマチールの副作用以外に婦人科的原因が考えられる (慶應義塾大学医学部産婦人科学教室 吉村泰典) 【2年前からドグマチールを服用。それから生理不順に】 ドグマチールという薬剤は、抑うつ症状や胃・十二指腸潰瘍の治療薬として広くもちいられています。 性成熟期の女性が服用を続けると、乳汁分泌を司るプロラクチンというホルモンが下垂体から多量に分泌され、高プロラクチン血症をきたします。 プロラクチンは乳腺刺激ホルモンのため、血中のプロラクチン値が上昇すると、乳汁分泌がおこったり、排卵を促す下垂体からのゴナドトロピンという性腺刺激ホルモンの分泌が抑制され、排卵がうまくおこらなくなります。そのため月経不順を訴えたり、ひどくなると無月経になったりします。相談者はおそらく乳房を強くしぼると乳汁がでてくるのではないかと思います。 【一般に月経不順の人は月経痛が強くない】 まず心療内科で血中のプロラクチン値とともにゴナドトロピン値を測定することが必要です。 血中のプロラクチン値が高い場合、月経不順を治すためにはドグマチールの服用をやめるか、プロラクチンの分泌を促す作用のない薬剤に変更することが必要です。服用を中止すれば、自然に正常な月経周期が回復すると思います。 しかし、抑うつ症状に悩んでおられるのですから、急にやめることはむずかしいかもしれませんので、自分で勝手に中止するのではなく、心療内科でよく相談することが大切です。 一般に、正常な月経周期の人に比べ、月経不順の人のほうが月経痛は強くないといわれています。相談者は市販の痛み止めを服用しなければならないほどの月経痛や吐きけなど、月経困難症の症状が見られますので、一度婦人科で診てもらうといいでしょう。 月経困難症がある場合は、子宮内膜症を疑う必要があります。また、貧血もあることから、過多月経の可能性もあります。このような場合、子宮筋腫や子宮腺筋症の合併も否定できません。 【月経困難症や過多月経は子宮内膜症の主症状】 子宮内膜症や子宮腺筋症は女性ホルモン(エストロゲン)依存性の病気で、性成熟期にある女性に好発する良性の疾患です。月経困難症とともに不妊症が主症状です。出産年齢の高齢化や未婚化などのライフスタイルの変化により、近年、増加傾向にあるといわれています。 また子宮筋腫は30〜40歳代の女性にもっとも頻発する病気で、この年代の女性の約30%に見られます。おもな症状は月経困難症や過多月経です。 いずれも良性の病気ですが、症状によっては手術などの治療が必要なこともあります。婦人科で内診、超音波、CT(コンピュータ断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像)などの検査を受けることをおすすめします。 仮に治療が必要な場合でも、最近では薬物療法や内視鏡をもちいた手術により治療することが可能となってきています。つまり、患者さんの社会的状況や要望にも応えることができるような治療法も考えられており、心配なさる必要はありません。 いずれにしても、ドグマチールの服用による月経不順と生理痛、吐きけや貧血の原因が異なる可能性がありますので、心療内科および婦人科でよく検査していただきたいと思います。 ご感想・ご質問
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