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[肥厚性硬膜炎](07/05/20)

自己免疫疾患の肥厚性硬膜炎と診断されました。

29歳・男性。今後どのような経過をたどるのでしょうか。治療法についても教えてください。


治療には副腎皮質ホルモンが第一選択とされている


(山王クリニック院長脳神経外科日本医科大学非常勤講師 山王直子)

【今後どのような経過をたどる病気か。治療法も知りたい】

 肥厚性硬膜炎は、脳を包んでいる硬膜が何らかの原因によって厚くなり、頭痛、脳神経麻痺、けいれん発作など、さまざまな神経症状を起こす疾患です。

 原因は、膠原病、関節リウマチや血管炎などの自己免疫疾患に伴うもの、感染症や悪性腫瘍に続発するもの、原因不明で特発性のものなどがあります。

 自己免疫疾患とは、本来、自分の体を外敵から守るための免疫機能が不全となり、自分の体の組織を攻撃してしまう病気です。正常な免疫機能は、自己と、非自己(異物)とを区別することができ、抗原と呼ばれる異物に対して反応します。

 しかし、こうした免疫機能の不全が起こると、自身の組織を異物と認識して自己抗体と呼ばれる異常な抗体や、免疫細胞をつくり、体内の細胞や組織を攻撃し(自己免疫反応)、炎症や損傷を招きます。

 自己免疫疾患は種々あり、慢性甲状腺炎(橋本病)、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、悪性貧血など、全身の臓器、組織に発生します。

【主な症状は慢性の頭痛さまざまな麻痺も起こる】

 肥厚性硬膜炎の症状は、慢性の頭痛が最も多く見られます。また、頭蓋骨からの神経の出口が硬膜の肥厚によって狭くなり脳神経が圧迫され、神経麻痺を起こします。圧迫される神経の種類によって、複視(物が二重に見える)、眼瞼下垂、視力低下などが起こることがあります。

 脊髄の硬膜に発生することもあり、感覚障害、運動麻痺などの症状が現れます。肥厚した硬膜が脳を圧迫して刺激となり、けいれん発作を起こす場合もあります。静脈洞が硬膜の肥厚によって狭くなり、血栓で閉塞する静脈洞血栓症は、急激に脳圧が上昇し、頭痛や意識障害を起こすことがあるので、注意が必要です。

 予後(病気がたどる経過や治る見込み)は原因となる基礎疾患や患者さんによりさまざまで、まだ十分解明されていません。

【治療はステロイド薬が有効な場合が多い】

 基本的に、それぞれの原因疾患の治療を行います。

 自己免疫疾患の治療では、ステロイド(副腎皮質ホルモン)の薬物療法が第一選択です。急激な神経症状の場合には、一時的に大量のステロイド薬を投入するパルス療法を開始します。

 ステロイド薬が有効な場合が多いですが、中止や減量により、1年くらいたってから再発することもあるため、長期にわたる経過観察が必要となります。数カ月から数年、ステロイド薬治療が必要となることが多いようです。

 ステロイド薬が無効の場合には、免疫抑制剤などを使用することもあります。その際には、ほかの原因疾患の可能性を再検討し、抗生物質や抗結核薬を用います。

 症状に応じて、鎮痛薬、ビタミン剤、抗けいれん薬を併用します。神経の圧迫による症状が強く、内科的治療で効果が不十分な場合には、神経減圧手術が選択されることもあります。

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