[睡眠時無呼吸症候群](07/09/10)鼻の手術を受ける予定。視神経への影響は? 合併症が起こりやすい場所の手術だが視力障害などが起こる確率は1%以下 (帝京大学医学部附属溝口病院耳鼻咽喉科教授 石塚洋一) 鼻の手術には、目と関連する手術(副鼻腔炎の手術)、関連しない手術(鼻中隔彎曲症、肥厚性鼻炎の手術)があります。 睡眠時無呼吸症候群が原因で手術をされることから、鼻詰まりが強くて、鼻での呼吸ができない状態と思われます。 したがって、高度の副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)で、鼻茸(鼻の中にできるポリープ)も見られると考えられます。 【手術には傷口が小さくて済む内視鏡を用いるのが一般的】 副鼻腔炎の手術には、20年ぐらい前から傷口が小さくて済む内視鏡(細い管)を用いた手術が行われています。 副鼻腔(鼻の周囲にある空気が入った空洞)には、上顎洞(目の下方で歯の上方にある空洞)、篩骨洞(目の周囲にある空洞)があります。 上顎洞の手術で目の合併症を起こす危険性は、ほとんどありません。しかし、篩骨洞の手術では、目の合併症を起こす危険性があるので、手術は内視鏡を使っても十分に注意しなければなりません。 【視力障害や失明のほか、髄膜炎などが起こる可能性もある】 篩骨洞は目に近いため、手術が外眼筋、視神経、動眼神経に及んでしまうと、複視(物が二重に見える)、眼球運動障害、視力障害、眼瞼下垂(まぶたが垂れ下がる)といった症状が起きます。 また、眼窩内血腫が生じた例では、軽度の皮下血腫は改善しますが、高度の眼窩内血腫の場合は、視力障害や複視を起こす可能性があります。 篩骨洞は、眼窩板(紙状板)という薄い骨板で目と接しているため、内視鏡の手術で用いる鉗子(はさみに似た形の金属性の医療器具)によって傷つけやすいという特徴があります。 このため、視力障害や複視が手術時の合併症として最も頻度が高くなります。 篩骨洞は1つの空洞ではなく、前方から後方まで薄い骨板によって3〜4つの小さい空洞(1つ1つを篩骨蜂巣と呼ぶ)に分かれています。 副鼻腔炎が高度であれば前方から後方まですべての篩骨蜂巣に炎症が及んでいるため、内視鏡を用いた篩骨蜂巣の手術が必要になります。 この時、一番後方の最後部篩骨蜂巣に目の神経が入っている視神経管隆起があります。この神経を損傷すると、視力障害、さらには失明という合併症を起こすことがあります。 さらに、篩骨洞は頭蓋底にも近いため、髄膜炎や脳炎といった合併症にも注意をする必要があります。 副鼻腔の中でも、篩骨洞は構造が複雑であるため、この部分の手術では合併症を伴う危険性が高いと指摘されています。しかし、目や頭蓋内への合併症は1%以下の発生率ですので、慎重な手術を行えば防げる合併症です。 ご感想・ご質問
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