2010年6月3日
鏡を見ても、何も入っていないのに――。約3カ月前、目にごみが入ったような違和感が消えず、眼科を受診した。「角膜びらん」と言われ、「目を強くこすったりしていませんか」と聞かれた。当時、仕事の効率が上がらず、疲れて、よく目をこすっていた。
角膜びらんとは、黒目にあたる部分の一番上の組織、角膜上皮の一部が、外部からの刺激などで傷ついたり、むけたりした状態だ。原因は、コンタクトレンズのトラブルが多かったが、最近は、パソコン作業が多い人にも増えているという。
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画面を見るのはテレビも同じ。なぜパソコン作業が悪いのか?
「大きな違いがあります」。さいとう眼科(兵庫県川西市)の斉藤喜博院長は話す。「パソコン作業では、長時間、じーっと画面を見ます。まばたきの回数が減るんです」
まばたきをすることで涙が眼球を潤し保護する。作業が続くと、まばたきが減って目の表面が乾燥し、傷つきやすい状態になるという。パソコンで長時間調べ物や資料作成をして、「ちょっと疲れてきたな」と目をゴシゴシ――。これは禁物だ。
斉藤さんは「意識して、『パチ、パチ』とまばたきすることを心がけて下さい」とアドバイスする。
治療には、ヒアルロン酸やコンドロイチンなどの目薬を点眼し、角膜上皮を修復。細菌感染を防ぐため、抗菌剤も使う。痛みがひどい時は、眼科用軟膏(なんこう)などを用いる。角膜上皮の再生能力は高く、早ければ1週間程度で治る。
日頃から、コンタクトレンズの正しい使い方や、パソコン作業の際のまばたきを意識すれば、「ほとんどの場合、予防は可能」(斉藤さん)だという。
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厄介なのは何度も再発を繰り返す「再発性角膜びらん」。目への強い刺激が原因のケースが多い。
日本大学医学部元教授で、現在は兼任講師の崎元卓さんが知る症例では、段ボール箱を開封する時にふたの角が入った▽本をめくる際にページが当たった▽ガーデニングの枝がはねた、などがあった。「目に入れても痛くない」はずのかわいい赤ちゃんに目を引っかかれたケースも。
一番の特徴は、治ったと思っても、朝起きたときに突然目に走る激痛だ。「あまりの痛さに、無事な方の目を開けることまで怖くなる人がいるほど」と崎元さん。
ただ、再発性の角膜びらんも、きちんと治療すれば全快するとされている。目に強い刺激を受け、違和感が残ったら、早めに医師に相談すること、そして痛みがなくなっても、最低2カ月は治療を続けることが必要だという。(小坪遊)
◆相談ナビ
日本眼科医会が、コンタクトレンズのトラブルや再発性角膜びらんなど、目についての健康情報を、ホームページに掲載している(http://www.gankaikai.or.jp/health/)。毎週木曜日の午後3〜5時、専門医による「目の電話相談」(03・5765・8181)も行っている。「相談の際は、自分で病名を推測せずに、自覚症状を簡潔に伝えてもらえるとありがたい」という。