2010年10月21日
昨年5月、39度を超える高熱に見舞われた。新型の豚インフルエンザの患者が国内でも見つかり始めたころだったので、「これは新型にやられたに違いない」と病院を受診した。だが、発熱翌日のインフルエンザの検査も、念のため3日後に受けた検査も陰性。のどの粘膜をぬぐって調べる溶連菌の迅速診断キットを使った検査では陽性だった。
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検査結果が出る前から、医師はのどの様子などを診ただけで「これはたぶんインフルエンザではないですね」と言った。なぜわかるのか不思議だったが、せきが出ないなどチェックリストの(1)〜(7)の症状がすべて当てはまっていた。
特に、うみのたまった白い部分がのどの奥の扁桃(へんとう)にできる症状は、インフルエンザではほとんどないらしい。(1)〜(8)は緑膿(りょくのう)菌など溶連菌以外の細菌でもあり得るから、溶連菌の有無の検査は必要だ。迅速診断キットは15分ほどで結果が出る。
抗生剤を飲んだら、熱は2、3日で37度台まで下がったが、のどの痛みがこれまで経験したことがないほどひどかった。扁桃がふくらんでのどをふさぎそうになり、息をするのもきつい状態だった。10日ほど薬を飲み続けてようやく治った。
子どもの急性咽頭(いんとう)炎の15〜30%は溶連菌が原因だ。細菌性の咽頭炎のほとんどを占める。大人での保菌率は低く、5〜15歳に多い。そのため、子どもの病気というイメージが強いが、大人でもある。
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抗生剤がないころは、全身に赤い発疹ができる猩紅(しょうこう)熱という法定伝染病の原因としておそれられた。耐性菌が出にくくペニシリン系などの抗生剤がよく効くので、早めに使えば怖い病気ではなくなった。だが、治療せずに症状が進むと心臓などに症状が出るリウマチ熱の原因にもなる。また、病原性の高い劇症型溶連菌感染症は、筋肉がはれて腐る壊死(えし)性筋膜炎を起こすことから「人食いバクテリア症」ともいう。
正式な名前は「A群レンサ球菌」で、溶連菌というのは「A群β溶血性連鎖球菌」と呼ばれていたときの名残だ。赤血球を溶かす作用があり、丸い玉が数珠つなぎになったような形をしている。
口の中に常在しているのではなく、通過する菌。飛沫(ひまつ)や保菌者との接触で感染する。神戸大病院の荒川創一感染制御部長は「菌に触った手で無意識に口に触るといった原因も考えられる。感染予防には手洗いやうがいが有効」という。
同じ溶連菌でも菌の株が変わると何度でもかかる。10代から30代で溶連菌感染症に年に3、4回以上かかる場合は、扁桃を取る手術も検討する。(鍛治信太郎)
◆相談ナビ
国立感染症研究所感染症情報センターのサイトにA群溶血性レンサ球菌(溶連菌)咽頭(いんとう)炎の情報をまとめたページがある(http://idsc.nih.go.jp/disease/groupA/index.html)。
同センターが毎週発表している感染症発生動向調査(http://idsc.nih.go.jp/idwr/pdf-j.html)で都道府県別の報告数の推移がわかる。