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紙面から from Asahi Shimbun

【(核なき世界へ)広島発、今こそ非核 「軍縮の年」米英仏が参列 平和記念式】 (2010年8月7日 朝刊)

 広島に1発の原爆を米国が投下してから65年後の6日、核保有国の米英仏の大使ら代表が初めて、平和記念式に参列した。背景には、オバマ米大統領が昨年目標として掲げた「核なき世界」の実現に向けた、核軍縮の機運の高まりがある。地球上には2万発を超える核兵器がなお存在するが、被爆地の「ゼロ」への願いに、世界が耳を傾け始めた。

 6日午前8時、広島市中区の平和記念公園。米国のジョン・ルース駐日大使は、米政府代表として初めて、広島平和記念式に参列した。
 ダークグレーのスーツ姿。正面の慰霊碑をじっと見つめ、隣席の駐日カナダ大使らと短く言葉を交わしながら着席した。秋葉忠利・広島市長が平和宣言で、核軍縮を掲げるオバマ政権に触れても、身じろぎせず前を向いていた。
 この日はメディアには対応しなかったが、米大使館を通じ「未来の世代のために、私たちは核兵器のない世界の実現を目指し、今後も協力していかなければならない」との談話を出した。
 大使の出席には「核なき世界」を掲げたオバマ大統領の政策が反映している。前日の5日、クリントン国務長官は国務省で記者団に対し、「この記念日を認識するのは適切」という、オバマ大統領自身の判断があってのことだと強調した。
 やはり核保有国として初参列したフランスのクリストフ・プノー臨時代理大使によると、米英仏の3カ国は東京の大使館を中心に昨年から協議を始め、今年の式典に一斉に初参列する方針を固めた。オバマ氏の昨年4月のプラハ演説以降「世界のムードが変わった」中、共同歩調を取った方が、核軍縮へむけた核保有国からの「メッセージが強くなる」と判断したという。
 今年5月に開かれた核不拡散条約(NPT)再検討会議が、「核なき世界」実現も視野に入れた最終文書の採択にこぎつけたことも、大使たちの参列を後押しした。プノー氏は「今まさに機運がある。今年は核軍縮のために重要で意義ある年だ」と強調した。
 英国のデービッド・フィットン臨時代理大使も式典参列後、「今こそ参列する時だと思った。我々にとっても大変意味があるし、広島や長崎の人たちにとっても大切なことだとわかっている」。前日に聞いた被爆者の証言を、繰り返し思い出したとも語った。
 潘基文(パンギムン)国連事務総長はこの日、広島で講演。「グラウンド・ゼロ(爆心地)からグローバル・ゼロ(地球上に核のない状態)へ」と訴えた。演題が今年の8月6日を象徴していた。「今がその時だ」
 ただ、今後の道のりは決して平らかではない。米国では記念式に大使が出たことすら議論を呼ぶ現実もある。

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