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紙面から from Asahi Shimbun

【非核の道、閉ざすな 日印協定に危機感 長崎・原爆の日】 (2010年8月9日 夕刊)

 長崎は9日、65回目の原爆の日を迎え、長崎市松山町の平和公園で市主催の長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典が開かれた。平和宣言では、核不拡散条約(NPT)に加盟していない核兵器保有国のインドと日本政府との原子力協定交渉に強い危機感を表明。日本政府に対し、「核兵器のない世界」に向けて国際社会でリーダーシップを発揮するよう求めた。

 核兵器保有国の英仏両国が初めて代表を送るなど、過去最多の32カ国の代表が参列した。6日の広島に続き、核廃絶を模索する世界的な流れができつつあることを確認する場となった。国際原子力機関(IAEA)の天野之弥(ゆきや)事務局長も初めて参列した。広島の式典にルース大使が出席した米国は参列しなかった。
 式典は小雨が降る中、午前10時35分に始まった。この1年間に死亡が確認された3114人の名簿が奉安された。長崎原爆による死没者は累計で15万2276人になった。
 原爆投下時刻の午前11時2分、黙?(もくとう)がささげられた。続いて田上富久(たうえとみひさ)市長が平和宣言を読み上げた。6月に交渉が始まった日印原子力協定について「被爆国自らNPT体制を空洞化させるものであり、到底、容認できない」と述べた。また、3月に存在が裏付けられた日米間の「核密約」について「非核三原則を形骸(けいがい)化してきた過去の政府の対応に強い不信を抱いている」と表明し、非核三原則の法制化を政府に求めた。
 5月に開かれたNPT再検討会議で、日本政府がロシアなど41カ国とともに発表した「核不拡散・軍縮教育に関する共同声明」への賛同を表明した。同時に、同会議で議長が提案した「期限を定めた核軍縮への具体的な道筋」が核保有国の反対で退けられたことに触れ、核保有国の指導者に対し、「『核兵器のない世界』への努力を踏みにじらないでください」と訴えた。
 5日に長崎を初めて訪れた潘基文(パンギムン)国連事務総長がすべての国に交渉開始を呼びかけている「核兵器禁止条約」について「私たち被爆地も強く支持する」と表明した。
 菅直人首相は、核廃絶に向けて「将来を見据えた具体的な措置を積極的に提案し、国際社会の合意形成に貢献していく」と決意を述べた。

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