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紙面から from Asahi Shimbun

【「核の傘」依存、焦点に 原水協・原水禁2大会閉幕】 (2010年8月10日 朝刊)

 広島、長崎両市で開かれていた原水爆禁止日本協議会(原水協、共産党系)と原水爆禁止日本国民会議(原水禁、旧総評系)を中心とした二つの原水爆禁止世界大会が9日、閉幕した。オバマ米大統領のプラハ演説からの世界的な動きを受け、両大会とも「核兵器廃絶」が実現可能な目標になったとし活気があった。一方、乗り越えるべき課題として日本政府が堅持する「核の傘(核抑止)」論を真正面からとらえる議論が多く聞かれた。

 核兵器廃絶に賛成でも、現実政治の中の核抑止論にどう向き合うべきか考えるのは難しい。原水協などの大会で大森正信・広島大名誉教授は「地域の集まりでは中国、北朝鮮への脅威を口にする人が多い」と課題を挙げた。
 韓国労働者代案社会学習院講師の李俊揆(イジュンキュ)さんは「北朝鮮に核兵器開発の放棄を要求するなら、韓国も日本も核に依存する安全保障政策の廃止を推進すべきだ」などと語った。核兵器を扱った経験のある元英海軍中佐、ロバート・グリーンさんは日本にとって米の「核の傘」は逆効果と言及。「核兵器使用の威嚇をする北朝鮮に対し、米国が核兵器を使用する危険を招き、日本が核の戦場になる危険性を高めている」と分析した。

 原水禁などの大会では、韓国のNGO「参与連帯」の李泰鎬(イテホ)さんが「核の脅威を取り去ることは、通常兵器の脅威を取り除くことと並行してこそ成功する。自国の軍事費の削除を早急に求める運動が必要だ」と提案した。
 被爆の実相を理解してもらい核廃絶につなげるには、日本の加害にも目を向ける必要があるという指摘も両大会であった。89歳の元海軍兵士で、戦闘で右腕を失った高橋潤次さんは「アジアで原爆の悲惨さを伝えても『日本人がたくさん死んだのは当然。あなたたちはどれだけの人を殺したのか』などと言われる。日本人があの侵略戦争を心から反省、謝罪しないと核兵器廃絶の訴えへの共感が広まらないのではないか」と語った。
 戦後65年。日本社会が積み残してきた問題が核兵器廃絶への妨げになりかねない。具体的な次のステップをどう踏むか、市民運動も正念場を迎えている。

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