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紙面から from Asahi Shimbun

【2011年の夏】
人間の制御力、過信していなかったか 長崎、脱原発訴える 原爆の日 (2011年8月9日 夕刊)

 長崎は9日、戦後66年の原爆の日を迎えた。長崎市松山町の平和公園で市主催の平和祈念式典があり、田上富久市長は「原子力にかわる再生可能エネルギーの開発を進めることが必要」とする平和宣言を読み上げ、被爆地として脱原発へ踏み出す考えを表明した。▼2面=平和宣言全文など、9面=ヒバクもう出さない

 原爆投下時刻の午前11時2分、黙?(もくとう)が捧げられ、続いて田上市長が平和宣言を読み上げた。東京電力福島第一原発事故を受け、「『ノーモア・ヒバクシャ』を訴えてきた被爆国の私たちが、どうして再び放射線の恐怖に脅(おび)えることになってしまったのか」「人間の制御力を過信していなかったか」と指摘。「長期間を要するとしても、より安全なエネルギーを基盤にする社会への転換」が必要として、脱原発を目指す考えを示した。核兵器廃絶、北東アジアを非核兵器地帯とする構想の実現も訴えた。
 原発事故を受け、今年の平和宣言で「脱原発」を盛り込むかが最大の焦点だった。田上市長は、産業や市民生活への影響に対する議論がないとして「脱原発」に踏み込むことには慎重だったが、最終的には「原子力にかわる」という表現で脱原発を目指す宣言を読み上げた。宣言文を練り上げる学者や被爆者らの起草委員会での議論を経て、「二度とヒバクシャを生み出してはいけない」との市民の声に背中を押された。「原発ゼロへのプロセスは私もまだ分からない。でも、最終的にシンプルに、うそのない原点に立ち返ろうと思った」と田上市長。「ヒバクシャを絶対につくらない、その道の行き着く先は原発ゼロだ」と言う。
 式典には、原爆を投下した米国からズムワルト駐日臨時代理大使が政府代表として初めて出席。このほか、核兵器保有国の英、仏、ロシアを含め、過去最多の44の国や欧州連合の代表が出席した。東日本大震災で被災した福島県いわき市の中学生43人と福島市の瀬戸孝則市長も参列した。
 菅直人首相は「原発への依存度を引き下げ、『原発に依存しない社会』を目指す」とあいさつした。
 式典には約6千人が出席した。この1年間に死亡が確認された3288人の名簿が奉安され、長崎原爆による死没者は累計で15万5546人になった。(江崎憲一)

 <平和宣言の骨子>
●長期間を要しても、より安全なエネルギーを基盤にする社会へ転換を図る。
●原子力にかわる再生可能エネルギーの開発を進めることが必要。
●オバマ大統領は被爆地や世界を失望させず、「核兵器のない世界」に向け、リーダーシップ発揮を。
●核保有国や国際社会は「核兵器禁止条約」締結の努力を。日本は、この動きを推進することを求める。

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