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紙面から from Asahi Shimbun

【2013年の夏】
聞こえなかった原爆 ろう者の体験、手話朗読劇に (2013年8月5日 夕刊)

 68年前、音で原爆に気付くことも出来ないまま被爆した聴覚障害者たちが広島・長崎にいた――。被爆ろう者の体験を伝えようと、聴覚障害者らで作る劇団が手話朗読劇「目で聴いた、あの夏」を制作した。広島原爆の日の6日に横浜、長崎の日の9日に東京で上演する。

 広島の被爆ろう者たちの証言集「生きて愛して」(仲川文江著)などを元に構成・脚色された脚本を、自らもろう者で俳優の大橋ひろえさん(42)が演出する。耳の聞こえにかかわらず理解できるよう、俳優3人が手話と朗読で語る。  芝居では広島、長崎の4人の証言を再現する。音ではなく、まばゆい光と、ものすごい爆風で知った「ピカドン」。ぺしゃんこになった家をはい出て見たのは何もなくなった町。やけどに苦しみながら死んでいく肉親、町中にあふれる死体から漂う腐臭……。俳優たちは時に台本を持ったまま全身でその状況を演じる。

 すでに亡くなった証言者もいる。壮絶な体験を語り継がねばと、今年7月の大阪を皮切りに全国6都市で巡演する。大橋さんは「被爆ろう者の存在を知ってもらい、多くの人に人間には苦しみを乗り越えて生きる力があることを伝えたい」。

 会場は、6日は相鉄本多劇場、9日は座・高円寺。前売り券は大人2500円、高校生以下1500円。当日券は500円増し。問い合わせは劇団「サイン アート プロジェクト・アジアン」(ファクスは03・5378・8026、メールはinfo@sapazn.jp)。(小川智)

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