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紙面から from Asahi Shimbun

【2013年の夏】
 原爆症基準、年内に報告書 首相指示 「よりよい制度に」 (2013年8月6日 夕刊)

 安倍晋三首相は6日午前、広島市内のホテルで記者会見し、原爆症認定の見直しについて「認定制度のあり方に関する検討会で報告を年内にとりまとめるよう、田村憲久厚生労働相に指示した」と明らかにした。認定をめぐる訴訟が相次ぐなか、制度の見直し作業を加速させる考えだ。

 会見に先立ち、首相は被爆者7団体の代表らと会談し、「よりよい制度になるよう精力的に議論してもらい、年内に最終報告をまとめるよう作業を急がせたい」と説明。被爆者の救済に向けて「しっかりと対応していきたい」と語った。

 原爆症認定では国が申請を却下したのに裁判で認定されるケースが続出。2008年に条件を緩和した新審査基準を導入した後も却下が相次ぎ、取り消し訴訟が続いた。このため厚労省が10年12月から有識者や被爆者による検討会で制度のあり方を議論している。

 一方、広島、長崎での被爆者を原爆症と認めない国の処分を取り消した大阪地裁判決をめぐり、首相は控訴を断念する意向だ。この日の被爆者団体との会談では直接触れなかったが、厚労省による判決文の詳細な分析を待って正式に決める考えで、作業を急ぐよう同省に指示した。

 また、会談では被爆者側が東京電力福島第一原発事故を踏まえて原発の廃止を要望。首相は「安全性の確保が最優先という原則のもとでエネルギーの安定供給とコストの低減という観点を含め、責任あるエネルギー政策を構築していく中で検討していく」と答えた。

 ◆キーワード
 <原爆症認定制度>
 原爆の放射線により医療が必要になったと厚労相が認めた場合、栄養補給や薬代として月額13万6480円の医療特別手当が支給される。2008年に審査の方針が見直され、爆心地から3・5キロ以内などで被爆した場合、がんや白血病、心筋梗塞(こうそく)などの病気を積極的に認定することになった。13年3月末までに認められたのは8552人。10年12月から厚労省検討会がさらなる見直しを議論している。

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