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紙面から from Asahi Shimbun

【2013年の夏】
 米、新型の核実験9回目 4〜6月、報告書に記載 (2013年8月21日 夕刊)

 米エネルギー省が今年4月から6月にかけて火薬を使わないで核兵器の性能を調べる新しいタイプの実験をニューメキシコ州の研究所で実施していたことがわかった。実験は2010年11月以降、計9回目。

 実験では、「Zマシン」と呼ばれる装置で発生させた強力なX線を少量のプルトニウムに照射し、高温・高圧の状態にして反応を調べる。同省国家核安全保障局(NNSA)の備蓄核兵器に関する報告書に記載があった。NNSAでは新型の実験について未臨界核実験を補完するものとして位置づけている。(ワシントン=行方史郎)

 ■広島から抗議「米国は孤立」
 米国の核実験に対し、被爆地の広島では抗議の声が上がった。  広島市中区の広島平和記念資料館。最後の核実験からの日数を表示する「地球平和監視時計」は、北朝鮮が地下核実験をした日から「190日」を示していたが、21日午後に「98日」に変更された。広島市が米・国家核安全保障局に核実験の日付を確認したところ「5月15日」と回答があったためだ。同館の志賀賢治館長は今年4月就任以来、スイッチを押すのは初めて。「残念としか言いようがない。この仕事だけはしたくなかった」と話した。

 広島県原爆被害者団体協議会(金子一士理事長)の大越和郎事務局長(73)は「オバマ大統領が核をなくすよう訴えた一方、核に固執し、覇権を維持しようとするのも米国の一面。それはある意味で弱さだ。このままでは、やがて孤立してゆくだろう」と指摘した。

 広島市の松井一実市長は20日付でオバマ大統領と、カート・トン駐日臨時代理大使に宛てた抗議文を送付。「今後も核兵器を持ち続ける意志を表したものと受け取れる」「核軍縮の決意を表明されたオバマ大統領の下で核実験が繰り返されていることに憤りの念を禁じ得ない」などと批判した。

     ◇

 長崎市は20日、オバマ大統領と在日米国大使館宛てに、田上富久市長と板坂博之市議会議長連名の抗議文を送った。抗議文は「被爆地市民の思いを踏みにじるものだ。いかなる核実験も中止し、『核兵器のない世界』に向けて主導的役割を果たすよう強く求める」などと記している。

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