| 防災意識があれば簡単!住まいの耐震診断と耐震補強
9月1日は「防災の日」。関東大震災を塗り替えるほどの阪神・淡路大震災が起きて、9年がたちます。現代の多くの人が体験したあの恐怖の揺れと、その後の生活の不自由さ、そして建て替えや修復に多額の出費を強いられ、ついにはその街と家を捨てた人も多いのです。
連日報道されたテレビの実況中継で目の当たりにした生々しい情景は、どなたの脳裏にも鮮明に残っているはずです。が、肝心の防災意識は低く、毎年その関心が薄れつつあるとも言われています。あれは“対岸の火事”でまるで仮想現実のように見えたのか、あるいはあまりの惨状に「あんな大きなのが来たらもう助からない」などと“あきらめて”しまったのでしょうか?
今でも見た目の良さや交通の便だけでマンションや建売住宅を購入して危険な建物に住み、せっかくのリフォームもインテリアや設備ばかりに関心が行き、耐震補強にまでなかなか意識が回らないようです。
ところが実際には、古い木造の家でもつっぱりの丸太や筋交い(すじかい)をいくつか加えただけで、あれほどの強い地震でもまったく被害の出なかった例が多いのです。反対に、鉄筋であろうが鉄骨であろうが、強度が出ていない建物は傾いたり倒れたりし、雨戸やシャッターがないために無残にも延焼してしまった建物も多いのです。
先日プレゼントをさせていただきました拙著「地震に勝つ家・負ける家」など、建築士や施工者など専門の方の応募のほうが多く、一般の方が少なかったのは残念でした。阪神淡路大地震の直後に現地調査し、どんな建物が助かりどんな家が倒れたか、そしてどんな補強方法が有効だったかを示し、さらに補強だけではなく、懐中電灯はタンスなどの下敷きにならないようペンライトのような小さなものを多数各所に置いておく方がパニックにならないとか、家族間の連絡方法、地震保険の徴収、あなたの防災度テストなどなど、一般の家を持つ人のために書いたものです。まだ冊数はありますからどうぞ。
それにしてもこの9月1日の防災の日は毎年何かが起こります。歌舞伎町の雑居ビルで44人もの命が失われた4年前の惨事も、皮肉なことに防災の日でした。今年は浅間山が噴火して驚きましたね。「災害は忘れた頃にやってくる!」ではありませんが、まだ余震が起こりそうな昨年の宮城県北部の震度6強の地震の直後の「防災の日」の関心の低さには、まさに驚きました。
さらに驚くべきことは毎年、その防災対策の行政の基本や報道のスタンスがまったく進歩がなく、いつも現実とがかなりかけ離れていることです。それぞれ特殊な事情を抱える各自治体による避難・救助・消火経路の確保は重要な課題です。その妨げとなる立体交差橋や歩道橋、電柱、さらに送電線などの撤去や耐震強化、あるいは海浜地帯では高潮や液状化対策、所によっては原子力発電所や石油の備蓄タンク群、コンビナートなどの耐震強化によって、住民の避難所やそのルートの整備など積極的対策が具体的になされていないことが気になります。
地震は天災とは言え、想定される危険を未然に防がないことは人災とも言えます。知事や自治体の責任問題ともなりかねません。もちろん、都市に住む人たちも安全避難の方法を考え、家族の命・財産を守るために災害を未然に防ぐこと、住宅の防火耐震強化や家具の転倒防止、建具による閉じ込め防止、さらにはガラスの破損によるけがの対策など、避難初期の防災意識のトレーニングが大切ですね。
「私の家は震度7でも大丈夫でしょうか?」「壁に筋交い(すじかい)が入っているのでしょうか?」――阪神・淡路地震の直後、毎日こうした質問ばかり受けました。すべての質問に答える時間もなく診断にもなかなか伺えず、一つの自己診断法を編み出しました。
それは、今の家の平面図の壁を太い油性フェルトペンのようなもので黒く塗り、それを目を細めて見てみるのです。すると、ぼやーと全体にバランスよく黒く見える平面の家はとりあえずOKです。反対にコーナーが白っぽかったり、家の半分あるいは一方の壁が真っ白だったりすると危ない! という簡単なものです。
実際に、阪神・淡路大震災では、ガレージなどで家のコーナーが柱1本だったり、リビングなどの角を大きな出窓などにして角の柱が1本だけだったりしたバランスの悪い家は、ことごとく柱が折れ、なんと柱が柱に食い込むように折れて2階が落ちていたのです。もう、これは壁の中に筋交いがあるなしの問題ではないのです。
耐震補強は簡単です。リフォームの際などに内壁をはがす時、柱と土台と梁(はり)の間にベニヤ板1枚を多くのくぎで打ち付けるだけで、筋交いの倍ほども強い面の筋交いとなるのです。ちょうど紙1枚の障子やふすまが狂いもせず、あれほど強いことと同じなのです。この「ベニヤ板1枚の耐震補強」! 家1軒で20枚ほど、わずか40〜50万円の費用で大地震に生き残れるのです。
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| 新築の家、駐車場の柱が折れて……(筆者撮影) |
(2004/09/05)
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