| 「もつ家」とは?私たちの家の寿命
かつて家の建築途中の棟上げの際、どこの家も棟飾りをして、餅投げが行われました。家の四隅の梁(はり)の上にも大きめの鏡餅を置いて四隅参りをし、5円玉や餅や菓子などを包んだおひねりを2階から集まった近所の人に向けてまいたものです。
家が末永く「もつ」(餅)ことと、近所の人々にご縁(5円)をもって末永く家と家族とを見守っていただきたいという祈願なのです。こうした地鎮祭(起工式)や棟上げ式(上棟式)などの一見、形式的とも言える儀式の中に、地域との交流や職人さんたちへのねぎらいと建主の意思の伝達があり、さらに土台、柱、梁などの構造材の披露と小屋組などの構造を家族で学ぶなど、現代では忘れられた家を持つことへの重要な心があったのです。
ある時、この持ち家に関して本紙H記者と激論を交わしました。彼いわく「今の家は持ち家というが、20年そこそこしかもたない! 果たしてわが国の住まいはフローなのかストックなのか?」と。彼は、建築は本来不動産で当然ストックのはずだと言います。そこで私が「では、なぜ5%もの消費税をとるの?」と聞くと、彼は「ムギュッ」とだまってしまいました。
「住宅を建てたときに不動産取得税をたいまい取られ、その後は固定資産税をしこたま取られる。家をはっきり不動産と言ってしかも固定資産とも言っているのに、さらに消費税だなんて、いったいなぜだ???」
彼は寝込んでしまいそうなほどに頭を抱え込んでしまいました。確かに家1軒の5%の消費税は大根1本に比べてはるかに大きい。電気冷蔵庫や自動車などの耐久消費財に比べても破格です。
「どうして誰も、この不条理を言わないのだろう? それどころか、消費税が3%から5%になるときには住宅の駆け込み需要さえ起こった」
そう、あのバブル期、経済が豊かになって築15年未満の家が次々壊され、建て替えられました。その意味で、家はまさしく大根と同じ消費財です。しかも、その建て替えられた家も金融公庫や住宅ローンの返済期間(担保期限)程度が寿命だとしたら、200〜300年も平気で建っている(いや、使っている)欧米の家とは比べ物にならないのです。従って、耐久消費財ともいえる家をストックなどと呼ぶのには大きな矛盾があるのです。もっとも、このお陰で今まで毎年100万戸以上の住宅の新築需要があり、さらに数兆円のリフォーム需要でわが国の経済は回ってきたとも言えるのです。
「だから家はフローか? とても納得できない! わが国には国家財産となるべき居住ストックがないことになる!」
確かに今こうして不景気となり、しかもこれほどに超高齢化の社会になると、住宅の寿命が短いことはいずれ国家レベルで大きなつけが回ってきそうです。リフォームでも新築でも、住宅投資は消費税はおろかもっと税制優遇をして最低50年以上、いや100年はもつ家にしなくてはいけなかったのです。そして、住む人も欧州に学んで重厚で長持ちする家をつくり、さらに補強をしなければなりません。だって、これからは資源や環境の点からも、そうそう簡単に壊して建て替えなどできません。
この点について、皆さんはいかが思われますか? えっ? 今さら納得できない? 消費税を返せですって?
今回掲載の写真は、7月25日の本コラムで木造軸組みの強い「下駄の家」として紹介させていただいた四国・新居浜のIさんの家です。やっと完成し、この週末に引っ越しです。中庭のデッキがお気に入りです。
(2004/09/26)
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