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間口7メートルの建築士の家、意外に広いリビング |
耐震構造偽装事件の後、3LDKほどのマンションを4000万〜5000万円の予算で求めていた人たちが、急きょ一戸建ての家探しに方向転換し、さら地や中古の土地付き物件を探し始めているようです。
しかし現実はその予算で買えそうな物件などまずなく、かなり郊外のそのまた外に出るか、面積を縮めない限りとても難しいのです。まさに住まいの経済は家を建てる経済の、その前に住まいの絶対的なバランスシート「狭さ“三すくみ”の定め」が立ちはだかるのです。
アインシュタインの相対性理論ではないのですが、私が説いてやまない“狭楽し術”の第1の定理(?)で、同じ予算であれば今の狭い家から1時間も郊外に出れば倍の広さとなります。しかし、さらに往復2時間以上も家族や友達との付き合いが狭くなるのです。だからと言って便利なこの場所で倍の費用を払えば広くはなる。が、生活経済が倍ほど狭く苦しくなる! まさしくあの蛇がカエルを追っかけ、カエルがナメクジを追っかける“三すくみ”と同じなのです。
結局、狭くなるのなら今の狭い家を徹底的に広く使う、狭苦しくても“苦”を取って楽にする。楽なばかりか楽しくもするのです。これが“狭楽し術”で、今のスペースを立体的にさらに多重に、そしてここまでやるかと言うほどの演出をして、今の住まいを広く設計するのです。それらの詳しい手法は今後、このコラムでもお話ししようかと思います。
新築にせよリフォームにせよ、住まいの設計は他の建築に比べて難しいのです。特にその予算や使い前など、ビル建築や公共建築が得意な建築家も住宅となるとなかなか良い案が浮かばず、予算も予定よりはるかにオーバーしてしまうことも多いのです。実は住宅の設計やリフォームを私どもに依頼される1級建築士の方も多いのです。
いったい、これはなぜでしょう? それは住宅が建築ではなく生活という“生き物”だからです。これには決まった答えがないのです。このことは、住まいのリフォームを多く手がけていますと痛いほどよく分かります。住まいという建物の状態と住んでいる人や家族の生活が、臨床的に理解できてくるのです。その意味で住まいの設計は一種、医療行為のようでもあるのです。
さらに住宅設計は住まう家族のそれぞれの反応を見ながら、その家族の将来も予測し、現場では工事が進行していく途中で、住まい側が気付き、あらわす反応と新たな希望をさらに加味していくのです。事実、この変更の予測が大変難しいのです。しかも限られた予算の中でこの作業は行われなければならず、まさしくこれは会計士の仕事です。
あるときは臨床医、ときに会計士や弁護士など、住まいの設計と監理はこれが醍醐味。一般の建築の設計とは根本的に違うのです。特に狭い土地では定型の住まいなどありようはずがなく、住まいの設計士の腕の見せどころとなるのです。しかも最近のように、土地を手に入れることがやっとで建築予算がないとなればさらに大変です。設計監理費が少々かかりますが、こうした状況では住まいの専門家に頼んだほうが、広い家が割安にできるはずです。