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25年前の1981年の雑誌「ニューハウス」特集で堺屋氏と対談 |
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堀江オルゴール館ホール トップライト |
私はなぜか70歳を過ぎた高齢の人の家を建てることが多いのです。えっ、それは“終の家”? と思われそうなのですが……、ところがどっこい、ご本人たちは、はなから“終の棲家”などとは思ってもいないし、第一“高齢”と言われることにとても不快感を覚える人たちばかりなのです。いわゆる「団塊」と呼ばれるだいぶ前の世代のたくましい人たちの家づくりです。
ここで今、ちょうど25年前、すなわち1981年に堺屋太一氏と対談をしたときのことを思い出し、その資料を引っ張り出してみました。対談は、雑誌の「ニューハウス」で3カ月にわたって掲載されました。タイトルは「中年からの設計―老後の暮らしはこれからどうなる!」でした。氏はすでに現代の戦後ベビーブーマーの問題と、それによる超高齢化時代を予測し、いろいろな現象を示唆されているのです。それにしても2人とも若く、髪がふさふさ黒々! としていましたね。
その後、氏に「団塊の世代」と“命名”された当時35、6歳ほどであった人々が、今、定年退職を迎えようとしています。そして、さまざまな問題が現実化しようとしているのです。その皆さまに、あえて70歳以上で家を建てた彼らからの情熱とメッセージをお届けしたいと思うのです。
「“終の棲家”。冗談じゃない。そのときはまた天野さんに設計を頼みますよ」。今から14年ほど前、当時80歳だった兵庫県西宮市の堀江光男氏はそう言われました。「私の住み家ではなく、私が集めて来たオルゴールたちの家ですよ」。「えっ、あの宝石箱の?」で始まった家づくりは、あらゆることが不思議で、すべてが刺激的な家づくりとなったのです。私自身もそれまで70歳を超えた人の家を何軒か設計してきた経緯もあり、ある程度のことには慣れていたものの、オルゴールと一緒に住みたいと言う80歳の老人とは……。
で、そのオルゴールがまたすごいのです。“エリーゼのために”でおなじみの手のひらサイズのオルゴールと思いきや、なんと一つがピアノどころかタンスよりも大きく、素晴らしい音色で、まさに自動演奏装置と言うべきもので、100年前の生演奏を実際に聴くことができるのです。驚くべきはその数がまた半端ではないのです。
1900年のパリ万国博にも出展された逸品のディスクタイプのステラや、ロシアのラストエンペラー、ロマノフ・ニコライ2世への誕生祝いのシリンダータイプのオルゴールなどもあり、博物館としても相当の格付けのものとなるのです。しかし、名前こそ「堀江オルゴール館」なるものの、建物は“家”で、まさに氏は今そのオルゴールたちに囲まれて一緒に住んでおられるのです。すでに13年が過ぎ、途中で阪神・淡路地震にも耐え、氏はすでに90歳をゆうに越されているのです。当時、怒鳴り合いながら設計や監理をしたことが今は懐かしく思えるほどなのです。もしご興味がおありでしたらぜひ訪れてみてください。
もう1人の建主は、長年勤めた企業で海外勤務の長かった平田さんです。赴任先のアジアの工芸に興味を持たれ、趣味で集め始めたといいます。勤め上げたらこうした民芸品と一緒に暮らしたいと夢を持つようになり、定年退職が楽しみになったそうです。役員や顧問を務め、そう簡単には退職できなかったものの、暇を見つけては精力的に土地を物色し、やっと栃木県の那須に土地を見つけ、奥さんや子供たちを説得し、東京の家を処分して念願の“館”を建てたのです。
まさに木造のシンプルな“家”で、展示スペースとなる空間は方形屋根の土間空間とし、その中心を井げたの構造にし、それを小さめの能の舞台にしたのです。時に展示品をどかして自身で能を舞うこともあるというのです。名付けて「亜細亜美術工芸館」。これまさしくちょっと照れながら、自身の気持ちをはっきりさせるためということのよう。
「“工芸館”というより人がそれらを観に寄ってくれることがうれしいんですよ」と謙遜(けんそん)されながらも、なかなかの展示品に驚かされます。なるほど人生を長く構え、サラリーマン時代からこつこつとその準備をなさってきたことと、高齢になってまだその将来のまた先を考え、生きていく平田さんのこの家はまだまだ“終の棲家”ではなさそうです。もし那須に行かれることがありましたら、平田さんちにぜひ「寄って」あげてください。独自のホームページを存じ上げないので、こちらを参照ください。
次週も引き続きましてこの“終の棲家”をつくっていらっしゃるご高齢(失礼)の方々をご紹介したいと思います。
また“終の棲家”については、7月21日(金)午後7:30から8:45までNHK総合テレビ首都圏におきまして「新トーキョー人の選択―終のすみか だれと?どこで?―(仮題)」が放送予定です。司会は春風亭小朝さんで、田嶋陽子さんなどとのトーク番組です。
引き続き、家相や寝室などホンネのアンケートも行っています。回答者の方にはお礼として拙著などの記念品を差し上げています。筆者の事務所のホームページ「創業40周年記念プレゼントアンケート」からお答えくだされば幸いです。