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一戸建ての住まいの想定される漏水箇所 |
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東京も軟弱な地盤の上に超高層建築が増えてきました。新宿から六本木方面を見る(右が明治神宮) |
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同 品川高輪方面から新宿を見る。右は40階もある高層住宅 |
またまた災害のお話で恐縮ですが、毎年この8月、9月はなぜか防災だ、セルフディフェンスだ、などと災害に備える内容ばかりで、ちっとも「いい家いい家族」ではないではないかと言われそうですが……、「いい家族」は災害に強い「いい家」があってこそ育まれるものなのです。
9月1日の「防災の日」が終わったかと思えば、今度は台風シーズンの二百十日(今年は9月1日)だ、二百二十日(同9月11日)だなどと、もういい加減にして欲しいと言われそうですが,私たちの住まいの周辺ではそれほどにいろいろな災害が起こるのです。なぜか今年も長梅雨で各地に洪水や土砂崩れなどの被害をもたらし、夏が来れば今度はヒートアイランド現象が原因と思われるゲリラ豪雨が都市のあちこちを襲ったのです。夏が過ぎたかと思えばまさに暦(こよみ)のとおり二百十日で、今年はまた大型台風が多くやってくるとも言われているのです。
昔から「地震・雷・火事・親父」と言われますが、これは“おこる”と怖い四つです。中でも予告なく起こる地震がダントツに怖いのですが、その次がカミナリで、この夏の“雷”雨のようです。最近怒ることもない優しい親父? はさて置いて、江戸の名物の火事も昔から恐れられていたことです。二番目に怖い雷は、雷雲はある程度予測ができて逃げる準備もできるようになりました。ゴルフ場のグリーンなどや野原にいない限り、突然ドカンと来て多くの人が雷に打たれた昔のようには直撃されません。ですが、集中豪雨で急に来る鉄砲水や洪水、土石流やがけ崩れなどが思いがけない大災害を引き起こすのです。
そこで風雨をともなう台風対策ですが、私自身が最初に体験した台風の恐怖は1959(昭和34)年9月26日の「伊勢湾台風」です。高校生で愛知県の岡崎市にいてこの超大型台風の威力を直に体験したのです。風は床下に入り、畳を吹き上げ、ついには雨戸を吹き抜かれ(吸い取られたと言う感じ)、瓦やトタン屋根がぶんぶん飛んで来る中、座布団を頭から被り、必死で裏の離れに避難しました。
「伊勢湾台風」は強風はとともに高潮で大きな被害をもたらしたのです。潮岬に上陸して名古屋の西から富山を経て三陸沖に抜けたのですが、名古屋港は不運にも満潮と重なり、高潮によってなんと5000人もの死者・行方不明者を出したのです。特に臨海の貯木場に浮かされた巨木の直撃を受けた人や家も多くこれは悲惨でした。景色のよいウォーターフロントマンションなど高齢者にも人気が高い時代、高潮や津波の災害想定がなされているのか、伊勢湾台風の経験者としていささか心配です。
さらに強風では41年前、すなわち1965年9月10日、高知県の室戸岬で日本の観測史上最大の毎秒69.8メートルを記録しました。これは時速にすると250キロ。あの新幹線「のぞみ」を追い越しそうな猛スピードの風なのです。台風の強さは地震の震度と同じように、中心気圧と最大風速をもとに5段階に分類されていて、もっとも強い“強烈な”台風の最大風速が毎秒55メートル以上と言うのですから、この時の台風はそれを15メートルも上まわる最大級だったことが分ります。
観測史上、上陸時の最低気圧の記録的な台風と言えば1934年9月21日の「室戸台風」で、なんと、911.6ヘクトパスカル。大阪から三陸沖に抜けた超大型台風であの時代で死者・行方不明3000人も出したのです。
台風は日本だけではありません。アメリカのハリケーンも脅威で、一昨年の8月末ルイジアナ、ミシシッピ両州を襲った「カトリーナ」はそのやさしい名に反して、風速80メートル(なんと時速300キロ)に肉薄、日本最大の室戸台風をしのぐ910ヘクトパスカルの超低気圧となり、それは海面を吸い上げ満潮時に8メートル以上の高潮を起こし、まさに伊勢湾台風を思いださせる大被害を招いたのです。まさに米国にも二百二十日があったのです。
なんと、そのハリケーンの一つが今年の8月27日に太平洋の日付変更線を西に越したため、台風12号と名を変え、さる9月1日にわが国に肉薄したのです。幸い上陸こそまぬがれたのですが、中心気圧920ヘクトパスカルで、最大風速は55メートル、米国に大きな被害をもたらした「カトリーナ」と同じランク5の巨大な勢力を持っていたというのです。台風まで“米国産”もありの時代なのでしょうか。
その台風や豪雨に備え今一度、雨後の晴れ間などに住まいの点検をされてはいかがでしょうか。雨の染み込みや雨だれの軌跡が残りますから、そこをチョークで印を付けたり、カメラに収めておくのです。私自身が今まで経験した雨漏り箇所を示したイラストをご参照下さい。これを怠りますと構造にまで至る甚大な損傷となって台風や地震に耐えられなくなるのです。
二百二十日と言えば5年前の悲惨な事件を思い出させますが、まさにそれが奇遇にも今年は9.11その日とは驚きです。多くの旅客を乗せたまま大型ジェット機がワールドトレードセンターのツインタワーに激突。あっけなく崩落してしまった2本の巨大な摩天楼の瓦礫の山を見たとき、暴風や地震などに対し強靭で粘りのある構造や消火設備、さらには避難経路の確保など、少しでも安全にと建物を設計している一人の建築家として身が震え、それがいつまでも止まらなかったのです。
近代国家の必然性? ともいわれる高速旅客機と超高層建築を狙った防ぎようもない卑怯で残忍極まりないな新たな“人的災害”で、人類の誰もが経験をしたことがない恐怖の中で亡くなった多くの人々の悲鳴とうめきが今も聞こえて来るのです。心よりご冥福をお祈りいたします。
その事故現場の「グラウンド・ゼロ」に、中核となるフリーダムタワーと、78階を最高層に3本のガラスの棟が建つといいます。建築家として言うべきではないのかも知れませんが、苦しんで亡くなられ、遺体も見つからない多くの人たちが今も眠る墓地の上に家を建てて住むことができることが資本主義の世の中だとしたら……、耐震構造偽装も認知症の老人を狙ったリフォーム詐欺も同義かもしれませんね。