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家具の倒れ方とその防ぎ方 |
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新潟中越地震での室内の様子 世田谷南RCの高橋進氏撮影 |
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私の事務所の四方の梁下に設置されたip20収納システム(扉が白板) |
私たちの住まいの快適さはなんといっても住み心地です。その極めつきはインテリアにつきると言えそうです。その上で使い勝手や最近“はやり”の環境や健康住宅、耐震構造となっているのです。いわば家づくりの、あるいは家を求める思考の順序、関心の深さともいえるのですが、ここが問題なのです。
本来、家の住み心地の良さや使い勝手は、第一に、その家の構造と間取りにあるはずなのです。その上で家具や収納、さらには電気・給排水設備機器などの機能や付加価値を足していくのです。建物の構造や造りは地震や風に強靭(きょうじん)であるばかりでなく、長持ちすることが使命で、水はけなどの湿気対策や床下や屋根裏の通気を心がけることです。これは付加する価値ではないのです。
さらに家族のいる場所、動線の間取りが重要なのです。私はこれを家族それぞれのいる場を最優先して“場取り”と言っているのです。そう、部屋ではなく「場」の配置とその演出なのです。そこにはそのための設備や収納などが付加されます。
しかし、実際の生活は与えられた空間に家具を次々買い足して収納などを並べることになります。室内が煩雑になるばかりか、地震時には家具や家電が転倒し危険です。実際、阪神・淡路大地震やその後の新潟中越地震などでも、被害を大きくしたとされるのは室内の家具類の転倒です。せっかく家の倒壊は免れたものの、倒れた家具に挟まれて逃げ出せず、迫る猛火で亡くなられた被災者も多いといわれているのです。
タンスや冷蔵庫などの重いものがなぜ倒れるのでしょう。地震の揺れのエネルギーはガルと言って加速度で表します。これは重さには関係なく、“動くこと”で、重いものほど被害が大きくなるのです。逆に軽い段ボールの箱のようなものは動いても被害が少ないともいえます。まさに家も同じですね。
さらに、イラストのように家具が倒れるためにはどちらか一辺が持ち上がらなければなりません。つまり幅がある物はみな回転して倒れるのです。従って天井まできっちりの家具は天井が持ち上がらない限り回転できず倒れないのです。エの字状のつっぱりは天井までの空間を埋めて支える方式ですが、残念ながらその支えの幅が小さいのと、天井板が弱いためにつっぱり金物が天井にメリ込んで家具が倒れてしまうのです。壁に留められた金具も同じで壁が弱いのとその重量に比例してとんでもない力が掛かり、あっさり外れてしまいます。
そこで天井までの空間(すき間)を、固い収納箱などをきっちりとはめ込み、造り付けの一体型収納のようにします。これなら壁や天井にくぎを打ち付けることもなく、賃貸の住宅なども出るときに傷一つ付かないのです。
また、この造り付けの収納家具はマンションや賃貸アパートで新たな快適な間取りをつくることも可能です。いわゆる「収納間仕切り」です。地震時に倒れないばかりか、物が飛び出すこともなく、さらにビルの倒壊などにもそのつぶされた家具や収納物の容積によってすき間ができ、その生存スペースによって助かった例が多いのです。
この収納家具をもっと強固なものにしてマンションやビルの両側の壁に床スラブから天井の梁(はり)下までぴったりはめ込める組み立て式の収納家具システム(ip20など)も売り出されています。ちょっと値も張りますが、この家具はきっちり寸法も合わせて、倒れることもなく、何枚もの強靭な側板で梁の落下を防ぎ、時にはこの収納が上階を支え、最悪の場合でもそこに生存スペースができるというのです。