 今の家でも親子交流の子ども部屋に
2007年01月21日
私には2人の年子の息子がいます。私は彼らに小さいころからそれぞれの部屋を与えました。一つの部屋で彼らを一緒にしていると、落書きやいたずらなど、どちらの仕業か分からず、片付けや物の整理などの彼らの個性を知ることもできません。また部屋を与えることで彼らの空間の管理を教えたかったのです。
 リビングに面した家族皆の書斎のKO邸
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 リビングに置かれた家族皆の書斎机
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 子ども部屋の机の配置一つでこうも変わる
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そんな理由から私は子どもたちにそれぞれの部屋を与えることに賛成です。問題は子ども部屋のあり方とその与え方が重要なのです。その第1が子ども部屋は広く快適にしないことです。快適で居心地がよければ子どもは家に帰っても家族の居るリビングには出てきません。玄関からそのまま子ども部屋に直行し、まるで親の家に住む“下宿人”のようになって、一日中部屋で過ごすようになるのです。共働きなどただでさえ親たちも忙しく、家族が顔を会わせる時間も減って、親子・兄弟の会話もなくなってしまいます。
「子ども部屋は勉強部屋」と思いきや、親の意に反して彼らの生活の場、それも家の中でまるで「勉強部屋」という“治外法権の特区”になってしまう恐れもあるのです。結果として彼らの逃げ込む部屋か隠れ家となり、家の中で家族から、いや、世間からも引きこもる場所になりかねないのです。
そこで「子ども部屋=勉強部屋」の錯覚を捨て、子どもたちが着替えや寝るためだけの部屋とし、最小限の広さとするのです。その狭くなった面積をリビングやキッチンなどに足して広く快適にするのです。その広くなったリビングに書斎コーナーのような場所をつくります。これはまさしく家族全員の書斎で、パソコンコーナーにして家族が並んで勉強や仕事をしたり、あるいは大きなテーブルを囲んで一緒に勉強したりするのもよいのです。こうして魅力的で楽しいリビングダイニングはいつも家族が居て、引きこもりの子ども部屋にはならないのです。
肝心なのはその子ども部屋の与え方ですが、前回もお話ししたとおり図面上に子ども部屋とは描かず、父親の“書斎”や奥さんの“アトリエ”とし、それらを子どもたちが成長するまで“貸す”と言う姿勢です。家は親のものであって子に“貸す”と言う意識が大切と言うことでした。その後、「私もそのようにしている」とか、「そこまで冷たくは……」とか、中には「子どものために建てる」など、その反響の多さと実情に驚きもしました。
そこで、すでに子どもたちに各個室を与えてしまっている場合でも“貸す”ことや子どもたちと“交流を取り戻す”ことも出来るのです。夏休みや年度の始まりを機に気分を一新、出来れば模様替えなどで、毎年ごとに彼らの部屋を交換させる提案をするのです。これが受け入れられれば子ども部屋の大掃除ができると同時に所有権がなくなり「オレの部屋」「私の部屋」とはならないのです。
部屋の交代が難しいようであれば、彼らの部屋の中のレイアウトの変更を提案します。それこそ机の配置一つで家族との交流が深まります。窓際、つまり家の中から外を向いた机にせず、図のよう部屋のドアを開けた壁際に置くのです。入り口のドアも常に開け放しができるように外開きではなく、内開きか引き戸にします。
さあ、これでどうでしょう。子どもの机は家族の一番近いところに向き、ドアを開けた途端「こんにちは」と言う位置関係となり、窓の外に気を取られることもなく親子が疑心暗鬼にならずにすむのです。
次回は2LDKの6畳一間に3人の子ども部屋(コーナー)をお話しします。
現在こうした家族の問題を第一義に、真に健康で安全な家をつくる住まいの専門家集団「住まいの健康と安全を創る会」(住健創)を立ち上げ、メンバーを募っています。この趣旨に賛同される建築家・工務店の皆様は大いに参加してください。住まいの安全や家族など「住育」にかかわる討論会や相談会、さらには発表会などを開催してまいりたいと思います。お問い合わせは、下記の私のアドレスまたは「日本住改善委員会」の窓口までどうぞ。
またアサヒ・コム「住まい」のページで「世界のウチ」を長年にわたって担当されている柳沢有紀夫氏(オーストラリア・ブリスベン)をはじめとする世界各国に在住の「海外書き人クラブ」の皆様からも世界の家族模様や世界の「住育」にかかわるご意見などもぜひご紹介願いたいと思っています。
天野 彰(あまの・あきら)
岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。一級建築士事務所アトリエ4A代表。
「日本住改善委員会」(相談窓口・東京都渋谷区松涛1-5-1/TEL03-3469-1338)を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国に精力的に行っている。その実業務からTV・新聞・雑誌などで広く発言。元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任する。
著書には、新刊『地震から生き延びることは愛』(文藝春秋)、『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)、新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社 実用BOOK)など多数がある。
天野さんへのご質問、ご意見は、[天野さんのホームページ ]から。

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