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「天野彰のいい家いい家族」

わが家の棟上げに大感激!

2007年04月08日

 ――お陰さまで、先の日曜日に棟上げをさせていただきました。週間天気予報では、前日から大分県は大荒れの雨! かなり気をもみましたが、快晴の前日から取りかかっていただき、準備万端。夜間にはかなりの雨でしたが、そこは新名棟梁。万全の対策でした。

写真ほとんど芯があるヒノキの柱材
写真棟梁の工場で材木の刻みを見て感動のSさん
写真大盛況の棟上げで祝い餅を投げる

 当日は予報が見事にはずれ、快晴の中、大勢の大いなる工さんたちが、あれよ、あれよと言う感じで、わが家を組み立てて行きます。午前中にはわが家のシンボル……玄関脇の北山杉の一本柱が、丁寧に時間をかけてそびえたちました。これには経験豊かな大いなる工の衆さえにも「嬉々」とした様子がありありとうかがえ、とても感激しました。

 私には天空と思えるような高屋根を、軽々と大いなる工の衆が飛び交い、やがて、わが家の「棟」が完成しました。

 とてもオーソドックスなんですが、家を建てたんだという悦(よろこ)びが胸いっぱいに広がる瞬間でした。そして、同時に、このコミュニティーに加わったという責任感が沸きました。十数年前にマンションを買った時には無かった、とても良い緊張感です。

 そして、少しずつ夕暮れの気配がするころ、会社の上司や同僚が家族と一緒に集まってくれました。気付けば、近所の方や縁ある方もおこしいただいています。仕事で来られない予定だった姪(めい)夫婦も駆けつけ、いよいよ「餅まき」開始です。

 人生二度とない棟上げですもの「おおばんぶるまい」を実現したかったのですが「そこそこふるまい」です。でも、折角わが家の上棟を一緒に祝って下さるんですから、楽しんで欲しいと、お菓子などを買う楽しみを満喫しました。新名棟梁が沢山のお餅をご用意くださり、皆さんにも喜んでいただけました。施主とその家内の役割を一手に担う忙しい一日でしたが、同じく、家を構える主人と守る家内の喜びを叶(かな)えました。

 家を建てる……このことが、いかに人にとって心豊かにし、生き様を語るものか。また、家を建てることの意義というのか、価値観が何故にこう多様なのか。「家」というものが、雨風をしのぐものから、子を育てる、家族が集う、憩う、……限りないものであることを知ることが出来ました。今回のわが家の建築は、新名棟梁と出会い、天野先生と廻(めぐ)り会えた不思議に感謝です。必ずや、苦労して私たち子どもを育ててくれた母への恩返しが出来ると思います。ちょっと、先生のウケウリ?!また、お会いした折にいっぱいお話させていただきます。 臼杵城址の桜が満開です!――― 

 家を建てることを現実に実感し目の当たりにするのは棟が立つときです。まさしく棟上げ(むねあげ)または上棟(じょうとう)式で、古来この瞬間は建て主にとって忘れ得ない感激の瞬間なのです。昔はどの家も上がった棟に家名と日付を入れた棟飾り(のさ)を飾り、軒桁(けた)の四隅の上に鏡餅(もち)を供え、おまいりし、近所の人に集まってもらって、餅や、お菓子・五円玉などの入った御ひねりを投げました。まさしく四方餅は四方“持ち”で家を末永く持たせ、餅投げは近所に末永く家族の付き合いを“持って”もらう祈願と縁起からなのでしょう。

 大分県の臼杵で、この威勢のいい餅投げが行なわれました。建て主のSさんにとっては初めてのことで大感激で、上記の歓びのメールを下さいました。あまりに名文なのと、心からの感動のお言葉なのでほぼ原文のまま掲載させていただきました。

 実はこの棟上げは私にとっても、とても感慨深いことで、まさしくこの地で建築家として生まれて始めて個人住宅の設計をし、建てさせていただいたところなのです。前々回ご紹介しました暖炉のある小手川邸なのですが、なんと今から実に43年前のことで、1964年のことでした。木造のつくり方は、あらかじめ棟梁の工場に材料を持ち込み材料を吟味し、木取りをし、そしてホゾなどの仕口を刻み込むのです。これが大工の匠の技なのです。現在では工場で機械がオートマチックにこの刻みをします。いわゆるプレカットです。

 棟上げとは、この仕口が刻まれた柱、梁(はり)を現場に持って行って土台敷きから始め、ほぼ一日で組み上げてしまいます。これにはその街の大工たちが寄り合って手伝うのです。この地域のコミュニティーこそが素晴らしいのです。私たち建築家はそれまでにその材料のチェックと刻みの検査をするのです。そして現場では基礎の鉄筋の配筋の検査からコンクリート打ちの検査をするのです。それが本来の設計監理の仕事なのです。

 建て主のSさんには材料の吟味、その木取りからご覧になっていて、ご紹介のメールのように、さらなる感激をされたのでしょう。これぞまさしく私が称えるわが家の建ち方を知る「住育」の一つと言えましょう。皆さんも家を建てるときは家族でこのダイナミックな棟上げの醍醐味をぜひ味わってください。

 次回は、定年後のために、おなじみ「増築ならぬ『減築』のすすめ」をお話します。

プロフィール

顔写真 天野彰(あまの・あきら)

 岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 「日本住改善委員会」(相談窓口・東京都渋谷区松涛1-5-1/TEL03-3469-1338)を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国に精力的に行っている。その実業務からTV・新聞・雑誌などで広く発言。元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任する。

 著書には、新刊『地震から生き延びることは愛』(文藝春秋)、『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)、新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社 実用BOOK)など多数がある。

 天野さんへのご質問、ご意見は、[天野さんのホームページ別ウインドウで開きます]から。


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