現在位置:asahi.com>住まい>いい家いい家族> 記事 PR 住まいの最新情報「同居」は老後の生活を救えるか?2007年07月22日 かつて福祉国家の最先鋒と言われた英国が高齢化と経済不況に押され苦しんでいたころ、確かサッチャー首相の2選目のころでしたか、ロンドンの建築家や福祉関係の専門家などと会談したとき、彼らからわが国の同居の姿を「日本は親子同居と言う社会ルール?が確立されていていい」などと言われたことがありました。
なるほど欧米諸国の彼らの目から見れば「同居」は特異なわが国の社会ルール?で、特に老人福祉の必要がないように思われたのかも知れません。私ごとですが……、当時先妻を病で亡くしたばかりで、2人の幼子を抱え四苦八苦していたときでもあり、「とんでもない。わが国も核家族化が進み、しかもこれからは多くの高齢者を抱える老人国家として社会福祉の整備が急務なのだ!」と、なぜか声を荒らげ「同居で介護老人を抱えて育児や就労などできるか!」と突然、異常な反応を示したことに彼らが目を白黒(青?)していたことが今も思い出されます。 時は進み、確かに今老人人口が多くなり、すでに問題となっている年金の粗末な扱いや、医療・介護などの行政の対応を考えると、なぜか当時の彼らの“勘違い”が思い出されます。結局わが国の政治家や行政サイドも「女は子を産め」の発言や、「介護老人は家に連れて帰れ」などといった医療制度など、まるで「同居」が大前提のような感覚であったのか?!とやるせなさがよぎります。 そこで定年を迎え自立した老後の生活をと、高齢者向けのマンションに買い替えたり、さらに老人ホームなどのケア付き老人施設に移り住むと、現実はどうも思惑とは違って、周りを見渡せばそこに暮らすのは老人ばかりです。しかしそれも夫婦が元気なうちはともかく、どちらか一方が欠けると不安が募って来るのです。 子どもたちもそんな一人暮らしの親や、老夫婦だけで住んでいる両親が心配で、離れて住んでいることが気がかりです。そこでけなげにもそんな老親を引き取るか、親子一緒に同居住宅を建てて住むことを考えます。特に共働きの夫婦は今の保育体制に不安があり、また鍵っ子などと、子どもだけを家において出かけることは心配と言うことで「同居」を考えるのです。 かと言って、べったり一体で同居することには抵抗があり、二世帯住宅が解決策のように思うのです。親子夫婦のプライバシーを確保しつつ都合よく気ままに住めそうな思いがあるのですが、果たしてどうでしょう。確かに二世帯住宅は玄関から親子二つに分けた自由な生活です。しかしその半面、互いが疎遠となりやすく、いったん亀裂が入ると疑心暗鬼になり、最も近い関係だけに同じ屋根の下に住みにくくなるのです。 そこで一体同居ながらも、時間差や好みの異なる台所やリビングを別々にし、親子の距離を極力離し、さらに子ども(孫)たちを含めた配置を考えた部分共有型の同居住宅が良さそうです。親子が同じ屋根の下に一緒に住んでいる意味を考え、それをもっと積極的にするのです。それが二世帯“同居”住宅です。これを私は二世帯“含み”の“新同居”と称しています。 “新同居”とは、こうしたありうる親子間の陰の部分を認めながらも、二組の夫婦があえて一緒に暮らしてこそ可能な活動的な同居です。共働きの子夫婦と、それをサポートする親夫婦の共同、いや“共働”生活をさらに如実した、同居住宅のことです。そう、同居する一人ひとりに役割がある家のことです。これこそ旧白川郷などの養蚕や農業のための大家族同居の合掌造りであったり、農家や商家の住まいであったりするのです。 まさしく今は懐かしい“3ちゃん農業”で、農作業のために、じいちゃん・とうちゃん・かあちゃんあるいはにいちゃんが一緒に働く住まいなのです。これは漁業も、商家も、大店も子店も、とにかく家族全員が一緒に働いて暮らす家です。例え封建的ではあったにせよ、それで統制が取れ、営々と何代にもわたって“家”は続いて来たのです。 私が説く“新同居”はこうした生産的かつ積極的な現代版同居です。はつらつとした親子のチームワーク中心の新しい感覚の同居で、土地の購入や建築費、さらには生活費を極力軽減し、いずれ介護が必要となっても、安心して暮らせるわがスペースを用意することなのです。行政もこうした家族を優遇し、民間任せにせず、確実なケアや家づくりをサポートすることで本質的な在宅介護が可能となるのです。 先日来の大型台風や新潟県中越沖地震などのような思いがけない災害に遭遇しても親子が一つ屋根の下に居さえするだけで心強く、子は親の、親は子の顔が見えるわが家が一番安心で、子夫婦たちもそのときは大変でも、ヘルパーや訪問看護や診療などと協力しながら、親の恩恵を感じられる「共働」の同居の家にしたいものです。誰もがそのときになって初めて親子が一緒に居ることが安心と思うと言うのです。 プロフィール
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