現在位置:asahi.com>住まい>いい家いい家族> 記事

PR 住まいの最新情報

「天野彰のいい家いい家族」

珪藻土が今、静かなブームに

2007年12月02日

 外国人から見ると日本人の住宅観はとても不思議なようです。洋風のモダンな家を好み、高層のマンションに住みながら、心の奥底では床柱と違い棚でつくる床の間の座敷にあこがれます。仕上げ材もビニールクロスやプラスティックではなく、板目が多少揃わないフシの多い木であっても、本物の板張りや土、漆喰(しっくい)の左官の壁など、自然の素材を求めます。

写真

エコナフィールを寝室の天井に張った例

写真

同、浴室天井に張った例、結露しない

写真

同、間仕切り引き戸に張った例

 すでに62年以上も経った今、もはや戦後とは言えませんが、焼け跡に生まれ、焼け跡で育った多くの人たちが、世界をそして時代を駆け抜け、働き詰めに働き続け、焼け跡の街を復興させ、経済の高度成長をなしとげました。しかし、住まう家はというと、外国人をして「ウサギ小屋」などと呼ばせた、とにかく雨露がしのげればよい家でした。われを、そしてわが家を忘れて駆けていた企業戦士たちは今、やっと身体を休め、これから住むべき本来の家はなにか、と考える時代になりました。

 このコラムのタイトルのように「いい家」とはなにかということが今、考えられています。しかし、「いい家」とは人に押しつけられるものではなく、人それぞれの好みや生き方に合った家、家族に合った間取りを求める時代となりました。しかし、大方の家族では、子どもたちが成長し、夫婦2人だけがぽつねんと住む家になっています。

 老いをいたわり、生きていく生活は、病気になり、ケガをしたら大変です。そうでなくても、クーラーや空気暖房が身にこたえるようになり、子育て優先の間取りや使いにくい台所、水回りなど、今まで気にならなかった住まいの不備に気が付きます。「いい家」どころか耐震にも不安で、健康にもあまり良くない、何よりも大人の感性にそぐわない家です。

そんな中、住まいの「空気」が気になります。このコラムでも度々言及した珪藻土が今、静かなブームになっています。

 珪藻土は海や湖の植物性プランクトン(藻類)が1000万年以上もかけて蓄積・化石化したもので、空気中の湿気を吸放出し、臭いのもととなるガス分子やVOC(シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物)を吸着するなど、さまざまな優れた作用があります。

 壁土などに混入して左官で塗ったり、吹き付け塗材にしますが、厚みを増すことができず、性能を十分発揮することが難しかったのです。また、現場で湿式で塗る作業などは工程に時間がかかり、敬遠されていたところ、工場で6ミリ厚ほどの板状にし、表面をドロマイトプラスター(漆喰の一種)で色付けして仕上げる、乾式の珪藻土パネル(エコナフィール=習志野加工)があります。

 もともとの珪藻土に塗装をすると表面を隠蔽して性能を害しますが、習志野加工はドロマイトプラスター*に、ツノマタ(海草)を混ぜて特殊な技術で塗装し、機能を100%活かしています。そればかりか、吸着機能に加えてエコナフィールにはもともとの珪藻土にはなかった分解機能をも合わせ持つそうです。吸着はVOCなどをもとの形で留めていますが、分解はそれを無害化し、その機能が永久的に続くそうです。

 これを天井や壁に貼ることによって室内空気は浄化され、調湿されて肌や粘膜に優しい空気になります。現代社会の環境と多湿な日本の気候に合った自然新素材です。現在は主に美術館や病院などに使われていますが、今後は一般家庭、特に寝室などには最適な天井・壁材と言えます。写真はわが家の寝室や浴室(天井)と、引き戸に使った例です。まだ半年ほどですが、なるほど空気がマイルドになり、快適です。

次回はなんと「いい家いい家族」200回! 「家相は本当に存在するのだろうか?」をお話しします。拙著プレゼントのお知らせもいたします。

(*ドロマイトプラスター=マグネシウムを多く含むドロマイト(白雲石)を焼成した左官材。日本古来の建物に使われてきた漆喰の一種)

プロフィール

顔写真 天野彰(あまの・あきら)

 岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 「日本住改善委員会」(相談窓口・東京都渋谷区松涛1-5-1/TEL03-3469-1338)を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国に精力的に行っている。その実業務からTV・新聞・雑誌などで広く発言。元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任する。

 著書には、新刊『六十歳から家を建てる』(新潮選書)、『地震から生き延びることは愛』(文藝春秋)、『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)、新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社 実用BOOK)など多数がある。

 天野さんへのご質問、ご意見は、[天野さんのホームページ別ウインドウで開きます]から。


この記事の関連情報

このページのトップに戻る