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「天野彰のいい家いい家族」

家づくり、大胆な発想とディテール

2008年01月13日

 家づくりで大切なことは勇気。住まいの間取りづくりでは思い切りと、大胆さが大切です。さらに各部においては微細に神経を巡らし、分からないことはちゅうちょなく質問し、気に入らない部分が一つでもあれば我慢せずに修正を頼むこと。家づくりにおいては、諦めと寛容は生涯の悔いともなりかねません。

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「◯◯刑務所」こと拙宅(1976年新築)

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そのわが家の中身は?

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ほほ笑みのわが家

 特別なケースを除き、家づくりは生涯に一度か二度しかない大事業です。せっかく「わが家」を建てるなら、世界に一つしかない家を目指したいものです。メーカーや建築家によるお決まりのお仕着せのデザインや間取りではなく、もっと大胆に、わが家だけの独自の発想による間取りやデザインを持つ家にしたいものです。

 しかし、いくら大胆にと言っても、自分たち家族が生涯に渡って住む家です。夫と妻、さらには子どもたちにも受け入れられるものかどうか。建築家やデザイナーの気まぐれな発想に任せ、街並みに不釣合いな奇抜な形態や色彩になっていないか注意することも必要です。外観は完成透視図や模型などをつくってもらい、その画像を街並みにはめ込み、いろいろな角度からシミュレーションしましょう。

 家族が住む街のロケーションに親しくなじみ、かつ独自のセンスを持った家にしたいものです。反対に、家族の誰か一人でも違和感を持ち、ちょっとでも気になるようなことは、実際に建ってみるとさらに増幅し、嫌悪感さえ感じることもあります。

 またまた私ごとで恐縮なのですが……。子どもたちがまだ小学生のころ、家を建てるチャンスを得ました。出張が多く、夜遅く帰宅してからの入浴も多いことなどから、道路に面する北側の外壁には極力窓を避けました。駐車スペースなどの地下の上に2階の家を載せるため、構造は鉄筋コンクリート造りで、当時はやりの打ち放しコンクリート(実際は予算がなかったために“やりっ放し”となったのですが)。そのため、外観はまるで要塞か刑務所のようになり、子どもたちは、友だちから家を“刑務所”呼ばわりされ、随分といじめられたそうです。そのせいか、彼らはたくましく(?)育ったような気もするのですが……。

 今は周囲も建て替えが進み、モダンな家も多くなりました。反面、わが家は30年が過ぎて古くなり、コンクリの表面も落ち着いてきて、ずしりとした重量感(?)を呈しています。

 家は家族の顔です。人それぞれに顔があるように家にもその顔や表情があります。そこに住むこともない、私たち建築家などの勝手なデザインで決めてしまわないように極力努めています。できることなら、家自体が穏やかにほほ笑んでいるような、そんな外観にしたいと思います。一端、家の中に入ったら、細やかに神経の行き届いた内装や設備でやさしい空気が漂う家にしたいと思っています。

 これには大胆な発想と細やかな配慮が大切なのですが、予算やそれぞれの家庭の事情もあってなかなか難しく、いまだに100%満足した家ができないのが申し訳なく、悲しくも実情なのです。

 で、次回は北も南も、外観も無い「家が回る?そして沈む???」をお話します。

プロフィール

顔写真 天野彰(あまの・あきら)

 岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 「日本住改善委員会」(相談窓口・東京都渋谷区松涛1−5−1/TEL03−3469−1338)を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。「日本建築仕上学会」副会長とNPO法人「国産森林認証材で健康な住環境をつくる会」代表。

 著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)、『地震から生き延びることは愛』(文藝春秋)、『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)、新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社 実用BOOK)など多数。

 天野さんへのご質問、ご意見は、[天野さんのホームページ別ウインドウで開きます]から。


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