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「天野彰のいい家いい家族」

建物ではなく居住の場所(1) フレームコロニー

2008年01月27日

 柱があって屋根がある。それが住まいであり、日本の家です。固定された壁のない「傘の家」です。しかし、最近は外断熱だ、気密な断熱サッシだといって「壁の家」となって密閉されています。おかげで冬は暖かく、構造も設備もしっかりとし、デザインも欧風やモダンなものなどいろいろ自由に選べるようになりました。

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フレームコロニーではユニットごとに運べる

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フレームコロニー

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フレームコロニーの断面 下にはプールやテニスコートも可能

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好きな住ユニットを抜き差しできる

 しかし、湿気の多いわが国では「壁の家」にはいろいろな弊害も起こります。しっかりした壁に囲まれた家は通気が悪く、腐蝕しやすくなり、そうなるとせっかくの耐震構造もいざという時に役に立ちません。住まいにも人にも通気が大切です。

 こうしたことから、私は一戸建ての基本構造は骨太の木造軸組みで、臍(ほぞ)で留める伝統的仕口組にして、主要構造はヒノキ材を使い、床下や屋根裏、そして壁内の通気を心がけています。しかし、それでも設備の配管や配線が複雑多岐になり、メンテナンスや改修に苦労することも多くなります。

 一方、集合住宅となるとそうはいきません。政府は今、200年住宅を提唱しているようですが、主たる構造がコンクリート造や鉄骨造で、直接内部仕上げが施され、しかもその中に設備配管も埋め込まれています。寿命の短い設備の老朽化とともに、主要構造まで破損、腐蝕します。外装や内装の仕上げの老朽化でも大幅なリフォームが必要となり、結局は解体されることになります。

 さらに、集合住宅の欠点は二方向の採光や通気しか取れないこと、隣家や上下間の騒音や振動も伝わりやすいことで、傷害事件に発展することもあります。

 これらの問題を解決し、200年はおろか1000年持つ(?)提案があるのです。題して「フレームコロニー」。1981年、現在の新耐震に法改正を受けて提案したもので、87年1月にはテレビ朝日のニュース番組で全国に紹介されました。

 写真やイラストのとおり、設計の基本は住む家と支える構造と設備を完全に分離したものです。住ユニットは自動車同様、各メーカーが工場生産するもので、その規格化された外形寸法と接合アタッチメントさえあれば中古あり、手づくりありの自由なもので、このフレームの権利さえあれば転勤や家族変化にも自由に対応できます。

 結果、隣や上下間には空気層ができてトラブルもなく、さらに通気や採光もとれ、何よりも構造と設備が分離されメンテナンスがしやすくなることで、定期的に塗装さえしていれば半永久的に持ちます。

 このフレームが全国に構築されることになれば、老いて“わが家と共に”自由に渡り歩くことも可能です。テレビ朝日の番組で、美里美寿々さん(当時)が「夫婦が別れる時はユニットを半分持って行けますよねぇ」などと言っていたことが印象的でした。

 次回はこの続き「間取りではなく場取り」です。

プロフィール

顔写真 天野彰(あまの・あきら)

 岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 「日本住改善委員会」(相談窓口・東京都渋谷区松涛1−5−1/TEL03−3469−1338)を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。「日本建築仕上学会」副会長とNPO法人「国産森林認証材で健康な住環境をつくる会」代表。

 著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)、『地震から生き延びることは愛』(文藝春秋)、『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)、新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社 実用BOOK)など多数。

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