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「天野彰のいい家いい家族」

現代町家プロテクト ランドセル式出窓

2008年04月20日

 京都の町家はもともと、密集した都市においても防火機能を備えた自然住宅です。また、空き巣や窃盗、さらにはプライバシーのためなど防犯機能も兼ね備えています。町家は何も京都のような形でなくともできます。

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ランドセル式出窓のHi邸(1965年)のスケッチ

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ランドセル式出窓のHi邸の写真

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出窓の断面と構造

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現代町家のランドセル式出窓I邸

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30年ぶりにリフォームしたプロテクトハウスY邸

 棟続きで建つ街道の家々では、庇(ひさし)との間は、四国脇町などの卯建(うだつ)同様、火炎は止めずとも扇状の竹槍の扇垣で防犯にも備えていました。ちなみに京都の路地の各家々の入り口横にある弓状の竹の格子は矢来と言い、遣(や)らい(=追い払う)と兼ねてか、戦(いくさ)のときの矢よけでした。これが路地にあるときは、土台や腰壁が傷まないように“野良犬の矢”除けでしたが、最近は酔っぱらいなど不逞な輩(やから)などの不始末のためにあるそうです……。

 和のプロテクトハウスである町家の発想を現代の都市住宅に生かしてみましょう。外壁は法制限でかなり防火構造が進みましたが、どうしても弱いのは窓です。阪神・淡路大地震のときにも、せっかく生き残った鉄筋のビルでさえ、後に起こった火災で窓から類焼し、燃えてしまった例もあります。そこで窓を網入りのガラスにしたり、雨戸やシャッターを付けるのですが、風の通りも悪く、台風でも来ない限り、普段は開けっ放しということになり、そんな時にこそ火災は発生するものです。

 そこで、火災時のもらい火を防ぐため、隣家や道路に対して出窓を設け、イラストのように前面を壁やガラスブロックにして、両サイドを開閉可能な窓にします。いわば外壁面をずらし、その間を開閉可能な窓にするのですが、これは火ばかりではなくプライバシーのために視線を防ぐことにも役立ちます。

 この出窓は一部を収納にしたり、その下を床からの掃き出し窓にするとさらに風通しも良くなります。外観がちょうど小学生がランドセルを背負っているように見えることから、私は「ランドセル式出窓」あるいは「ランドセル式収納」などと呼んでいます。プライバシーの点からも寝室などはもとより、浴室や脱衣室などは視線を防ぎながら常に開放でき、しかも広々としますから、リフォームの際にはお勧めです。写真は40年前のH邸の例から最近のI邸、さらに30年ぶりにリフォームしたYさんの例です。

 こうしたリフォームの技術や材料、さらには実例を紹介する「リフォーム&リニューアル展」が来月5月21日から3日間、東京・台場のビッグサイトにて開催されます。私も組織委員をつとめ、今年で14回目になります。5月22日午後2時50分から「ユニバーサル社会の安全と安心を創る」というテーマでお話しします。お知らせのサイトから無料チケットを受け取られます。ぜひご覧ください。

 次回はさらに敷地全体をプロテクトした「セルフディフェンス 現代町家」についてお話します。

プロフィール

顔写真 天野彰(あまの・あきら)

 岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 「日本住改善委員会」(相談窓口・東京都渋谷区松涛1−5−1/TEL03−3469−1338)を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。「日本建築仕上学会」副会長とNPO法人「国産森林認証材で健康な住環境をつくる会」代表。

 著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)、『地震から生き延びることは愛』(文藝春秋)、『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)、新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社 実用BOOK)など多数。

 天野さんへのご質問、ご意見は、[天野さんのホームページ別ウインドウで開きます]から。


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