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「天野彰のいい家いい家族」

セルフディフェンスの現代町家 減築でも可能

2008年04月27日

 「天災は忘れた頃にやってくる」とは昔からよく言われる言葉です。

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中庭式のおなじみセルフ・ディフェンスハウスイメージ

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町田のS氏宅シャッターを開けると車庫とその奥に中庭がある

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同、その内側の中庭テラス

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杉並のN氏宅、粋な黒塀の中に庭と玄関がある

 物理学や地震学の研究者で随筆家の寺田寅彦(1878〜1935)は、1923年(大正12年)9月1日に関東、静岡、山梨地方を襲った大震災の体験から「災害は忘れたころにやってくる」と述べ、その緊張感や心構えを忘れるべからずと説いたそうです。一方で、「喉元(のどもと)過ぎれば熱さを忘れる」のとおり、残念ながら日頃の忙しさに感(かま)けて、ついおろそかにしがちなのも災害対策です。

 しかし、今後20〜30年の間にかなり高い確率で大地震がやってくることは確かです。2003年には「今後30年間に起こる確率は、東南海地震は50%、南海地震が40%」(気象庁・地震火山部地震予知情報課)との予想が出ました。直下型か東海地震にしろ、「東京に明日地震が起きても不思議ではない」と言われてすでに5年が経ったのです。

 しかも、東海、東南海、南海地震が同時に連鎖して起こった場合、マグ二チュ−ドは8.5(関東大震災M7.9、阪神大震災M7.3)の規模になると予測され、被害は過去最大級、津波などは1分たらずで来て、津波警報など確認する暇もない……。もちろん、その被害はぼう大なものとなり、家屋の倒壊はもとより、そのために発生する火災がさらに被害を大きくします。

 このコラムや拙著でいつもうるさく申し上げている通り、ちょっとした心がけと家のつくり方で家や身を守ることができます。それこそセルフ・ディフェンスハウスの考え方です。ライフラインは止まり、道路は寸断され、消火活動や救助が困難となるわけですから、とりあえずの自己防衛がなにより大切になります。

 イラストのように、まるで甲羅のような防火壁の中に中庭を設け、無垢の木造の家を建てることが理想的ですが、写真の事例のように間取りをコの字やL字型にして、耐火材、防火戸やシャッターなどで被覆するように外壁をつくり、その内側を開放的にします。

 もちろん、今ある家の外壁を固め、北側か南の一部屋を減築し、中庭にして塀で囲んでおくことも可能です。次回はさらに確実に来る“老い”に備えて「セルフ・サポートの家づくり」をお話しします。

プロフィール

顔写真 天野彰(あまの・あきら)

 岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。一級建築士事務所アトリエ4A代表。

 「日本住改善委員会」(相談窓口・東京都渋谷区松涛1−5−1/TEL03−3469−1338)を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。「日本建築仕上学会」副会長とNPO法人「国産森林認証材で健康な住環境をつくる会」代表。

 著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)、『地震から生き延びることは愛』(文藝春秋)、『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)、新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社 実用BOOK)など多数。

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