2008年5月4日
お堂のようなシンプルな外観を持つY邸Y邸は田の字プランのユニバーサル住宅
明日、いや、今日来るかもしれない大地震。わが日本列島のプレートにはストレスが溜まりに溜まっています。加えて温暖化による地球環境もあり、行政に頼るだけではなく、わが家のセルフディフェンスを心掛け、自ら地震や火災、さらに防犯に備えることが大切です。
さらにこのたび導入された後期高齢者医療制度(75歳以上)に見るとおり、それを支える年金や国保はかなり深刻な問題を抱えています。確実に迫る“老い”に自ら備えることも重要と言えましょう。
こうした中で、私は“老いの暮らし”を最優先して家づくり、そしてリフォームのテーマとし、常に“2S+3Fの家”を心がけています。2Sとは、安全なセルフ・ディフェンスのSと、老いて自立して住める家、すなわちセルフ・サポートのSです。
3Fとは3つのフリーです。老いて安心なバリアフリー、体に良いケミカルフリーの家、そして長年手入れをしないですむメンテナンスフリーの家のことです。
たとえ若い世代でも、思わぬことでつまずいたり、滑って転んだりします。あるいは室内のVOC(揮発性有機化合物)などで気管支や眼などを傷めたら、老後の暮らしがますます辛くなります。室内材料は極力自然素材を使用し、その接着剤や塗装材のVOC、さらに防腐剤や殺虫剤、さらには電磁波などにまで注意を払います。
2S+3Fは、わが身と住まいのプロテクトです。今の住まいを見直してみると、特にリフォームの際にこうした改善の必要性が見えてきます。
住む人の健康や安全、酸欠やシックハウスなど健康上の問題、そして地震に対する構造や防火、防犯上の危険などの性能。さらには家族関係への微妙な配慮の行き届いた間取り。本来のリフォームやリニューアルとは、これらの調整や改善をすることです。
住まいとは何かを改めて考えることです。決して難しいことではありません。住まいの現実をシンプルに考えることがリフォームであれ、新築であれ、一戸建てであれ、集合住宅であれ、誰にとっても住みやすい家につながります。
今、子育てに忙しい人は育児のしやすい家、老人を抱える家は介護のしやすい家、そして老人は自分自身でトイレや風呂に入ることができる家……。そう、答えは簡単です。自分自身が本音で住みやすい家であるかどうかです。夫あるいは奥さんそれぞれが住みやすい家であるかどうかであり、あえて互いに相手や家族のことを考えず(!)、夫婦の今、そしてこれからの生活を互いに別々に考えることです。子育てが今大変だとしても、あっという間に子どもは巣立ってしまいます。
だからこそ今の現実をよく見て考え、“その後の夫婦”を考えましょう。夫婦が勝手気ままに住めるシンプルな間取りの家です。昔の日本家屋のような田の字の間取りがいいでしょう。これを2S+3Fの家にし、近代設備も必要に応じて設置、使い方もデザインも好きなようにアレンジしましょう。歳月を経ても住みやすい時間と空間を考えたユニバーサルの家、いざとなれば這ってでも暮らせるセルフ・サポートの家になります。
東京ビックサイトで5月21日から3日間開催される「建築リフォーム&リニューアル展」では2S+3Fのリフォームの技術や材料、さらには実例が展示されます。私も22日に「ユニバーサル社会の安全と安心を創る」というテーマでお話します。
次回はセルフ・サポートの「“その後の夫婦”の家」についてです。

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。一級建築士事務所アトリエ4A代表。
「日本住改善委員会」(相談窓口・東京都渋谷区松涛1−5−1/TEL03−3469−1338)を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。「日本建築仕上学会」副会長とNPO法人「国産森林認証材で健康な住環境をつくる会」代表。
著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)、『地震から生き延びることは愛』(文藝春秋)、『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)、新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社 実用BOOK)など多数。
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