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安心の「親子同居“共働”住宅」

2008年6月1日

写真親子が一緒に共働して住むGさん親子家族の笑顔と笑顔写真他の親子家族でが住む「契約同居」

 老いの生活でなりよりも安心なのは身寄りが身近にいることです。近くに息子や娘家族がいれば、いざという時にとても安心です。子の側にしても遠くに老親がいればあれこれ心配し、さらに一人暮らしにでもなると、どこか具合でも悪くないか? あるいは、なにかあったのでないか? などと常に気になります。そんな中で何らかの原因で電話が通じないことがあるとさらに心配になり、仕事も手に付かずに会社を休んで様子を見に行くとなると大変です。

 運悪く介護が必要になると、家族の誰かが親の家に泊まりに行ったり、知らない街で病院や介護施設の手配や手続きをしたりなど大変で、子夫婦家族の生活も大きく影響を受けることになります。しかも、少子高齢化の今では一人っ子同士の夫婦の親が双方で4人、さらにその祖父母も健在という家族も確実に起こりうることです。今後も、このまま急激な長寿高齢化が進むと、年金や健保などの制度や行政はまったく追いつかず、本人のみならず親子家族の医療費や介護費などの負担がさらに大変になります。

 その意味で「同居」は“もし可能なら”最良の策と言えるのかも知れません。そこが前回書いた同居優遇策などの発想が出てくることになるのでしょうが、このコラムでも何度も申し上げているように同居は「頼る同居」でなく、親子が経済性や合理性を追求し、かつ勝手気ままに住める二世帯住宅よりも、親子が自立しつつ、かつ積極的に“共働”できる同居が大切です。 

 老いの生活に親子が共働できる「親子同居“共働”住宅」とはいったい何でしょう。難しいことではありません。昔のあの三ちゃん農業のように親子一緒に畑を耕し、一緒に暮らすのです。白川郷の合掌造りのような大家族、さらには商家や造り酒屋など、家族全員にそれぞれ役割分担があり、“共に働いて”暮らしていました。一見、限られたエリア内での封建的な家族主義のようでもあるのですが、考えようによっては今の共働き夫婦のように、夫婦、家族が平等とも言えます。

 しかし、働く場所と住む場所が拡散した現代のグローバル社会では、リタイア後の親御さんが引っ越して子夫婦と同居するか、反対に子どもたちが親の住む地域に職場を持てるか、どちらかの場合に限られます。運良く同居場所が職場に通えそうであれば良いのですが、肝心の「老親を敬い、案ずる子の思いと、子育てにいそしむ子夫婦を支援する親の思い」が大切です。わが子でなくとも若い世代との同居も同じことが言えます。私は古くから他の夫婦との同居を、「契約同居」と銘打って同居に近い賃貸併用住宅の提案をしてきました。

 「契約同居」の詳しくはまたの機会にお話しするとして、同居共働住宅は共に働き一緒に住むからと言って特別なことをするのではなく、ただ日常の当たり前の生活をしながら、親の側は子育てを支援し、時には学校の送り迎えや宅急便の受け取り、洗濯物の取り込み、あるいは家の留守番だけでもいいのです。これで共働きをする若い夫婦がどれほど安心できるかを考えてみましょう。親の側はいきなり介護や世話を期待するのではなく、庭の草取りや買い物程度で、それより一緒に住む身内(あるいは気心知れた他人)のもたらす大きな安心感を持てることが重要なのです。

 同居共働住宅は二世帯住宅の合理性だけでなく、老若が一緒に住んで前向きに学び、教え合い、共働で“住む事業”をすることでもあります。こうした暮らしやコミュニティーづくり、あるいは街づくりを積極的に支援している社団法人コミュニティネットワーク協会なるものがあります。医師や社会学者あるいは福祉団体や建築家などで構成され、私もそのメンバーの一人として一緒に学んでいます。本来はいくら高齢になろうと、即介護だ、医療だと考える前に、老若一人一人が持つポテンシャルを生かし、“共働”して生きていくことがこれからの老齢社会の姿だと思います。次回は「親子でなくとも同居すること」についてお話しいたします。

プロフィール

天野彰(あまの・あきら)

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。一級建築士事務所アトリエ4A代表。

「日本住改善委員会」(相談窓口・東京都渋谷区松涛1−5−1/TEL03−3469−1338)を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。「日本建築仕上学会」副会長とNPO法人「国産森林認証材で健康な住環境をつくる会」代表。

著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)、『地震から生き延びることは愛』(文藝春秋)、『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)、新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社 実用BOOK)など多数。

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