現在位置:
  1. asahi.com
  2. ライフ
  3. 住まい
  4. 天野彰のいい家いい家族
  5. 記事

わが家を守るメンテナンスの“目”

2008年6月15日

写真寝室の仕切りふすまを両面珪藻土ボード(エコナフィール厚6ミリ)で貼る写真開けると寝室は一体となる図雨後のわが家のチェックポイント

 いよいよ本格的なじとじと、じめじめの梅雨の季節です。長く続く雨は家の中の人や物はおろか、家の構造まで湿気らせ、腐らせます。わが国の住まいの最重要テーマは暑さや寒さよりもこの湿気です。とくに床下や壁、収納の中にたまる湿気は要注意です。夏の湿気もさることながら、締め切って暖房する冬の湿気もくせ者です。

 梅雨時は雨漏りやひび割れなどからの染み込みがあったり、家の周辺の湿度が長く高いため、それらが乾くことなく湿気が家のあちこちに充満蓄積します。そこで除湿器やエアコンのドライに頼ることになるのですが、より効果的なのはやはり自然の風通しです。

 新聞やTVの天気予報をよく注意して見ると、長梅雨の中でも梅雨前線が南に下がって雲の切れ間ができることが分かります。そんな晴れの日は極力窓を開け、風を通すように心掛けましょう。注意することは家の外と中に簡易な湿度計を置き、外部の湿度が低いことを確かめ、さらに風の方向を読んで窓を開けます。

 風のない日はこれも安価で簡易な扇風機を2台ほど用意して、一つは外部から室内に向け、もう一つは反対に風を出す方向に家の外に向けて回します。湿気のたまりやすいじゅうたんや畳の裏は、TVやタンスなどの物が置いていない部分をドライバーやバールなどで持ち上げ、そこを扇風機で煽ると驚くほど乾きます。

 湿気対策で効果的なのはリフォームや新築の際、室内の壁や天井仕上げを珪藻土や炭などの素材にすることです。簡易には珪藻土をボードにしたエコナフィール(習志野加工)や炭ボードなどがあり、調湿作用に優れ、出かけて閉めきっていても室内湿度を常に60%内外に保ち、しかも空気中の臭いや有害物質も吸着してくれます。これらの表面積を広くすれば、まさにノーエネルギーの除湿器や加湿器とも言えます。2枚の写真は夫婦寝室を仕切るリフォームの際、ふすまの両面を珪藻土のエコナフィールにした例で、夏冬とも快適湿度を保っています。 

 さらに、梅雨の晴れ間にもう一つやっておきたい大切なことがあります。晴れてしばらくしてから家の外からイラストのように外壁や屋根、さらに手すりなどの取り付け口や換気や通気口周辺を双眼鏡やカメラの望遠レンズでのぞき、雨の染み込みや、いつまでも乾かない怪しげな場所を見つけ、写真を撮っておきます。のちにこの部分に印をつけた写真やデータを専門家に見せ、さらに詳しく調査してもらいます。

 そこから雨が壁の中に染み込み、室内からは見えない雨漏りや結露水が、家の主要構造まで腐らせることがあります。あの阪神淡路大地震の時もそんな家が数多く倒れました。

 わが家の敵は湿気であり、それから家や身を守るのはまずは住む人の目であり、メンテナンスのメは“目”と言えましょう。昔から腕のいい大工や職人を「目利き」などと言う通りやはり“目”が大切なのです。

 次回はそんな目利きの「わが家の耐震リフォーム」についてお話ししたいと思います。

プロフィール

天野彰(あまの・あきら)

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。一級建築士事務所アトリエ4A代表。

「日本住改善委員会」(相談窓口・東京都渋谷区松涛1−5−1/TEL03−3469−1338)を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。「日本建築仕上学会」副会長とNPO法人「国産森林認証材で健康な住環境をつくる会」代表。

著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)、『地震から生き延びることは愛』(文藝春秋)、『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)、新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社 実用BOOK)など多数。

天野さんへのご質問、ご意見は天野さんのホームページから

PR情報
検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内

提携サイトで探す

  • 全国の売買物件をお探しの方
  • 全国の賃貸物件をお探しの方
  • 不動産を売却したい方
  • 不動産会社をお探しの方