2008年6月22日
強靭なシステム家具ip20で事務所を強化
三田の當光寺。ジャッキアップで地盤改良と新しい基礎をつくる
三田の當光寺。壁の柱・梁を構造用合板で張る
駐車場の角の柱の補強。“3本の矢”の粘りを
14日朝8時43分ごろ、関東地方は不思議な揺れを感じました。立っている人にはまるで立ちくらみのような、寝ている人にはゆらゆらと船に乗っているような、しかも長く重い揺れかたで、歩いていた人たちは気づかかなかったと言います。
岩手・宮城内陸地震の発生でした。気象庁の発表によると、関東から450キロほど離れた岩手県一関市付近が震源で、深さは約8キロと浅く、マグニチュード7.2と推定。なるほど大きな地震エネルギーであったことが分かります。
内陸部でM7以上、断層が原因と思われる直下型地震は、1995年1月の阪神・淡路大震災、2000年10月の鳥取県西部地震に続き、わずか13年間に3回も起きたことが気になります。
防災科学技術研究所の観測網は、震源に近いところで、国内最大の4022ガル(上下3866ガルと東西と南北の水平2方向の合計)の加速度を観測しました。測定値どおりだとすると、重力の加速度は980ガルで、上下方向でこの値を超えると地上のものが飛び跳ねて浮くことになります。今までの最高は04年10月の新潟県中越地震の余震で気象庁が観測した2515.4ガルでしたから、いかに激しいものであったかが分かります。この数値は観測点が断層が乗り上げた上にあったためとも言われていますが、いずれにせよこの見えない断層が都市部にでもあったらと思うと身の毛がよだちます。
明日どこに起きても不思議ではないこうした地震に備えて、わが家の耐震リフォームは果たして何が有効なのでしょう? このコラムで何度もお話をしているように、こうした予想をはるかに超える揺れに備えて、まずは家具が倒れないように固定することで、しかもそれらが二階や屋根を支えるように床から天井までを隙間なく埋める収納壁が有効です。倒れた家具の下敷きにならないだけでなく、物も飛び出しにくく、家具が潰れた場合でも生存空間をつくりだします。
リフォームで壁をはがす際には、主要構造の柱・梁を入れ替えて補強し、さらに筋交いのように構造用合板を張りましょう。地盤や基礎が心配な場合は、建物全体をジャッキアップし、地盤改良した上で鉄筋入りの基礎を打ち直し、土台からやり替えれば万全です。
阪神・淡路大震災で倒壊が多かった1階が駐車場になっている建物の場合、駐車場の角の柱を支えるように、柱を足してボルトで縫うように補強します。外部から2階までの通し柱を加えることも有効で、いわば建物全体を粘りのあるものにします。
私ども設計者は日々こうした補強工事を推奨しているのですが、これほど各地で地震の被害が出ているにも関わらず、まだ関心は低いままです。行政も包括した法整備はするものの、具体的な地域の耐震強化やそのための助成や補助が行き届きません。
昨年6月の改正建築基準法のため、建築確認許可がなかなか下りず、多くの施工者や大工が待ち切れずに倒産廃業し、その余波を被って大損したり、リフォームや建てること自体をあきらめた建て主も多いのです。皮肉なことに、耐震偽装に端を発した監督行政の失策で、補償やサポートがまったくなされず、建設立国であるわが国の経済の屋台骨が脆弱化しています。ぜひ強化してもらいたいものです。
次回は家づくりを「いったい誰に頼み、どうつくるか?」について考えてみましょう。

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。一級建築士事務所アトリエ4A代表。
「日本住改善委員会」(相談窓口・東京都渋谷区松涛1−5−1/TEL03−3469−1338)を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。「日本建築仕上学会」副会長とNPO法人「国産森林認証材で健康な住環境をつくる会」代表。
著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)、『地震から生き延びることは愛』(文藝春秋)、『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)、新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社 実用BOOK)など多数。
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