2008年8月24日
セルフディフェンスの中庭の家イメージ。外郭はコンクリート中は木造
「プロテクト出窓」で安心風通し。ランドセルのように見えるA邸のプロテクト出窓の内側の様子
「ライフステージにあわせた家づくり―大人の夫婦のいい家の条件―」(東京書籍)
京都などの密集地での町家や卯建、さらに蔵など木造のわが国の住まいはそれなりに工夫して防災に留意していたことが伺えます。一方、欧州大陸などに目を転じますと、なるほどその造りはレンガや石などでがっちりしています。そのため持ちもよく、しかも空気が乾燥しているため朽ちにくく、200年、300年の家などざらにあります。
実際に彼らの家に泊まってみますと、その造りは単に防災だけではなく、他の国が陸続きで、いつ攻め込んで来るやも知れず、おまけにヨーロッパでも北寄りの都市は厳冬の寒波にも苛まれるのです。「家は人を守り、国を守る」と言う発想が古くからあるように思えます。それが今日でも経済の変動や政変にも強く、災害や防犯にも打ち勝ってきた「セルフディフェンスの家」の発想です。実際に何度も戦禍に見舞われ、政権が変わりながらも冬に凍えることなく、街は美しく豊かに見えます。
実は私たちの家も、木造ながら骨太、頑丈な家ばかりで、卯建などの防火壁まであり、防災の意識も高く、街も美しく整備されていました。
私のお勧めする「セルフディフェンスの家」は決して難しいことではありません。リフォームの際、ちょっとした心がけ次第で隣家からの火災の延焼から免れたり、筋かいに代わる構造用合板を各角に貼ったり、一階から二階までの通し柱を外に“添え”て一、二階を一体にする程度の簡単な補強で大地震や台風から身を守る家になります。住む人のプライバシーを守り、空き巣などの盗難からも守ります。
外からの火を防いで視線も防ぐとなると、結局は町家と同じ中庭式のプランになります。「コの字型」プランでも同じで、まったく違った安心感が生まれます。さらに家の外周には風抜きの「プロテクト出窓」を取り付けます。
出窓ながら突き当たりの窓はガラスではなく、壁や分厚いガラスブロックにして火や視線を防ぎ、プライバシーを守ります。その代わりに左右のスリット窓から風を出し入れします。私が木賃アパート暮らしの頃にしたあの“風の招き込み”です。私はこれを小学生がランドセルを背負って歩いている姿に似ていることから「ランドセル出窓」と名付けました。以来、私の住宅のコンセプトデザインとなっています。
こうした生活から来るデザインは、“風の呼び込み”から始まり、さらに住む人のライフステージ(まさに住まいは家族のステージ!)に大いに係わりが深く、今回それを一冊の本にまとめました。題して「ライフステージにあわせた家づくり―大人の夫婦のいい家の条件―」(東京書籍)です。(抽選にて)5名様にプレゼントいたします。プロフィール欄から私のホーム・ぺージまでどうぞ。
というわけで、しつこいようですが、次回は「なぜ防災の意識が高まらないか?」についてです。

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。一級建築士事務所アトリエ4A代表。
「日本住改善委員会」(相談窓口・東京都渋谷区松涛1−5−1/TEL03−3469−1338)を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。「日本建築仕上学会」副会長とNPO法人「国産森林認証材で健康な住環境をつくる会」代表。
著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)、『地震から生き延びることは愛』(文藝春秋)、『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)、新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社 実用BOOK)など多数。
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