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二百十日地震カミナリ火事オヤジと台風

2008年9月7日

写真台風チェックイラスト雨後のメンテナンス

 よりによって、今年の防災の日は永田町で激震が起こりました。と言いましても、直下型地震ではなく、首相の突如辞任という政局のお話ですが……。

 この夏は天候を含め、何が起こるか分かりません。「青天の霹靂(へきれき)」とはこのことで、さっきまで晴れていた空が、突如真っ暗にかき曇り、カミナリが轟(とどろ)き、大粒の雨が降り出したかと思う間に、バケツをひっくり返したような雨で、道路が川のようになります。

 またまた災害のお話しで恐縮ですが、「防災の日」かと思えば、台風シーズンの二百十日(今年は8月31日)、二百二十日(同9月10日)です。とくに今年は、全国各地でゲリラ豪雨が洪水や土砂崩れなどの被害をもたらし、原因と思われるヒートアイランド現象が都市のあちこちを襲いました。今年はまた大型台風が多くやってくるとも言われています。

 昔から「地震・雷・火事・親父」と言われるとおり、“おこる”と怖い四つです。なかでも予告なく起こる地震がダントツに怖いのですが、その次がカミナリで、この夏の雷のようです。昔はドカンと来て多くの人が雷に打たれたのですが、最近はめったに直撃はされません。しかし、どしゃ降りで急に来る鉄砲水や洪水、あるいは土石流やがけ崩れなどで思いがけない大災害を引き起こすこともあります。怒ることも少ない最近の優しい親父はさて置き、江戸名物の火事も昔から恐れられていました。

 この四大恐怖に入っていない台風の対策ですが、私自身が体験した台風の恐怖は今から50年ほど前の1959(昭和34)年9月26日の「伊勢湾台風」。私は愛知県の岡崎市に住む高校生でした。その風は床下に入り、畳を吹き上げ、ついには閂(かんぬき)で固めた雨戸を吹き飛ばし(吸い取られた?)、瓦やトタン屋根がぶんぶん飛んで来る中、座布団を頭巾に、必死で裏の離れに避難したのです。「伊勢湾台風」は強風はもとより、高潮で大きな被害を出しました。

 潮岬に上陸して名古屋の西から富山を経て三陸沖に抜けたのですが、伊勢湾は不運にも満潮と重なり、高潮によってなんと5千人もの死者・行方不明者を出しました。とくに臨海の貯木場の巨木や船の直撃を受けた人や家も多かったのです。景色のよい湾岸のマンションが高齢者にも人気の高い時代ですが、こうした高潮や津波などの安全対策がなされているかどうか。まさしく水を差すようですが、伊勢湾台風の経験者としていささか心配なのです。

 真正面から看板やものなどが飛ばされてくる強風の被害も想定しなければなりません。強風の記録では43年前、1965年9月10日、高知県の室戸岬で観測史上最速の毎秒69.8メートルを記録。これは時速にすると250キロで、新幹線「のぞみ」のような猛スピードです。台風の強さは地震の震度と同じように、中心気圧と最大風速をもとに5段階に分類されていて、もっとも強い“強烈な”台風の最大風速は毎秒55m以上。室戸岬で観測された台風はそれを15mも上まわる最大級でした。

 台風は日本だけではありません。米国などを襲うハリケーンも脅威です。2005年8月末、ルイジアナ、ミシシッピ両州を襲った「カトリーナ」はそのやさしい名に反して、風速80メートル、なんと時速300キロに肉薄しました。日本最大の室戸台風をしのぐ910ヘクトパスカルの超低気圧となり、海面を吸い上げ満潮時に8メートル以上の高潮を起こして大被害をもたらしました。

 毎年9月11日前後の二百二十日といえば、天災ではないのですが、あの悲惨な9・11同時多発テロ事件を思い出します。多くの旅客を乗せたまま、大型ジェット機がニューヨークの世界貿易センターのツインタワーに激突。その後1時間ほどであっけなく崩落してしまった2本の巨大な摩天楼の瓦礫の山を見たとき、暴風や地震などに対し強靭で粘りのある構造や消火設備、さらには避難経路の確保など、少しでも安全にと建物を設計している一人の建築家として身が震え、それがいつまでも止まらなかったことを今でも覚えています。

 さて、その台風や豪雨に備えて雨後の晴れ間に住まいの点検をしましょう。外壁の雨の染み込みや雨だれの軌跡が残っていたら、そこをチョークで印を付けたり、デジカメに収めておきます。雨漏りの可能性の多い箇所を示したイラストをご参考にチェックしてください。のちにこれを大工さんや建築士に見せてください。

 ちなみに9月11日は「公衆電話記念日」ですが、今でも何かの行事があるのでしょうか? 1900(明治33)年のこの日、日本で最初の公衆電話が東京の上野駅と新橋駅に設置されたそうです。携帯電話が普及した今日、無用の(儲からない?)公衆電話はどんどん撤去され、お年寄りや子どもたちなど携帯を持たない“弱者”には住みにくい都市になっています。あの阪神淡路大地震でも、携帯電話回線がパンクしたり、充電ができず、公衆電話のありがたさが身に染みたという意見を忘れてはいけません。それどころかお年寄りや子どもたちには公衆電話を“ただ”にするぐらいの太っ腹でもいいのではないでしょうか。

 次回は「『敬老の日』バリアフリーよりリハビリの家」のお話しです。

プロフィール

天野彰(あまの・あきら)

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。一級建築士事務所アトリエ4A代表。

「日本住改善委員会」(相談窓口・東京都渋谷区松涛1−5−1/TEL03−3469−1338)を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。「日本建築仕上学会」副会長とNPO法人「国産森林認証材で健康な住環境をつくる会」代表。

著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)、『地震から生き延びることは愛』(文藝春秋)、『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)、新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社 実用BOOK)など多数。

天野さんへのご質問、ご意見は天野さんのホームページから

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