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梅雨の後には住まいの総点検を

2011年7月7日

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写真:メンテナンスのチェックポイント拡大メンテナンスのチェックポイント

写真:平面図に描き込まれた見積書拡大平面図に描き込まれた見積書

写真:土砂降り中に押し入れ天井から天井裏をのぞく。乾いている(博多I邸)拡大土砂降り中に押し入れ天井から天井裏をのぞく。乾いている(博多I邸)

 梅雨の時季の今は「経済大国」ならぬ「湿気大国」のわが国です。

 そのわが国の暮らしや住まいの原点は湿気だと言ってもよいでしょう。特に今の季節は多湿ですべてのものが腐りやすくなり、とりわけ地盤も定まらず屋根瓦もずれたままの被災地の方々のご苦労は幾ばくのものかと案じられます。被災から免れた家でも雨漏りでもあれば土台や柱の湿った所に腐朽菌が蔓延し、さすがに堅牢な家でも土台から腐っていきます。その早期発見こそが家を長持ちさせるコツなのです。

 「なんでこんなに傷んでしまったのか?」などと嘆くことがないように、梅雨の晴れ間や大雨の後に、自分の目で家の外壁や基礎部分の雨の染み込みや漏水の具合(イラスト)などを見てみることが大切です。

 メンテナンスの「メ」は「目」です。床下収納があればそれを持ち上げて外し、家の床下を自分の目でのぞいてみましょう。しけていないか、水がたまっていないか確認します。ときに土台が黒く腐っていることもあります。さらに押し入れの中の天井板を持ち上げ、そこから二階床下や屋根裏の様子、構造の状態をわが「目」で直接見て、デジカメなどで撮っておくとよいでしょう。

 特に家に取り付けているベランダや庇(ひさし)や霧よけ、さらにはアンテナや樋(とい)の支えなどの付け根、さらにサッシや換気口の周りなどが要注意です。手の届くところには染み込みや尾垂れの跡などにチョークで記しをつけ、平面図や立面図にもその位置を記して、写真を貼り付け、建築士や大工さんなどの専門家に見せて診断してもうとよいでしょう。

 それらの資料をもとに、部位ごとの診断、改善策やリフォーム案などを検討してもらい、概算見積もりを出してもらいます。見積もりも総合計にまとめて一式で出す見積もりではなく、平面図上に記した各部屋ごと、各部位ごとの「見積もり図」(イラスト)にしてもらいましょう。工事に伴う仮設代や諸経費、さらには設計費などをそれぞれに入れてもらうようにします。その資料をもとにおおむねの予算の検討を進めます。補修案、あるいは大幅なリフォーム案、場合によっては建て替え案を、施主側である自分たちで方針検討します。

 震災後、まるで先の見えない政局と不況のなか、建材不足や消費税10%の声も聞こえる昨今、今建っている家を早急にリフォームするべきか、あるいは建て替えるかについては、さらに専門的で踏み込んだ調査が必要となります。設計や見積もりを単一の施工業者任せにしていては公平な見積もりも望めません。特にリフォームは、一戸建てのように「坪あたりいくら」などと分かる目安もありません。ここはやはり、費用を支払っても住宅のリフォームや新築に慣れた設計事務所に依頼し、さきのデータを元に客観的な全体計画書と図面や仕様書をつくってもらい、複数の工務店に正確な見積もりと段取りの工程表を提出してもらうとよいでしょう。

 さらにこれからの家は耐震補強はもとより、省エネ節電を考慮したソーラーパネルの設置や天然ガス仕様の給湯冷暖房を含めた「自然+LPG+電気」のトータルシステム、さらに売電・深夜蓄電など複雑な数値性能も必要となります。すてきなインテリア、キッチンやバスユニットばかりについつい目を奪われがちですが、じめじめした梅雨の終わりには、冷静にこの夏、わが将来、そして家族の行く末をよく見据えて「人生と家」を考えるよい機会にしてください。

プロフィール

天野彰(あまの・あきら)

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。一級建築士事務所アトリエ4A代表。

「日本住改善委員会」(相談窓口・東京都渋谷区松涛1−5−1/TEL03−3469−1338)を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。「日本建築仕上学会」副会長とNPO法人「国産森林認証材で健康な住環境をつくる会」代表。

著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)、『地震から生き延びることは愛』(文藝春秋)、『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)、新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社 実用BOOK)など多数。

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