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2012年10月18日
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天野彰のいい家いい家族

同居 老いたら二階に住む?

文と写真:天野彰

写真:老いたら二階に住む拡大老いたら二階に住む

写真:阪神・淡路大震災で二階が一階に落ちた例(写真筆者)拡大阪神・淡路大震災で二階が一階に落ちた例(写真筆者)

写真:親子逆転、老いたら二階に住む(大阪F邸)拡大親子逆転、老いたら二階に住む(大阪F邸)

 もともと10月10日が「体育の日」でした。成人の日の1月15日と同様、2000年からなぜか10月の第2月曜日となり、今年は10月8日の月曜日でした。

「体育の日」がなぜ10月10日だったかと言えば、1964年の東京オリンピック開会式の日だったからです。この日を記念して1966年に「スポーツに親しみ健康な心身をつくる!」ことを趣旨として記念日が制定されました。しかし、記念日が日曜の場合に月曜日が振り替え休日となることはやむを得ないとしても、むやみに連休とするために毎年記念日をずらすことにはいささか抵抗を感じるのは私だけでしょうか。

 この10月は「じゅう」で「住」の月。住まいを充実しようということからか「住宅月間」とされていて、あちこちでイベントが開かれています。住宅ローンのファイナンスに始まり、時代に合った耐震強化や省エネ、そして高齢化対策やリフォームなどです。最近では創エネどころか売電、さらにはアパート併用で家賃を得る収入型住宅など積極的な家づくりのテーマも多いのです。

 そんな中で私は、家づくりのニーズはどなたも同じことであり、それらを中心的な要素にまとめて「三つのフリー」のお話をさせてもらっています。第1のフリーは住まいの健康で、化学物質過敏症の人にもシックハウスのない、しかもエネルギーにも極力頼らない「ケミカルフリー」の住まいであること。

 第2はさらに家の内外をお年寄りにやさしい安全な「バリアフリー」にすること。そして、最後は住まいそのものの健康で、メンテナンスをしなくても家の持ちがよく、地震や火災などの災害にも負けない「メンテナンスフリー」であることです。

 特に「バリアフリー」に関して、私はちょっと違った考えを示しています。もともと障害のある人は別にして、元気な「若い老人」は定年後、すぐにバリアフリーとはせず、むしろリハビリテーションが必要ではないか、と訴えています。できるだけ緩い階段を設けて両側に手すりをつけ、あえて二階に住もうという考え方です。

 二世帯住宅では、なぜか親夫婦が必ず1階に住み、子夫婦が二階に住むのが定番ですが、私はまったく逆で、「元気な親夫婦」には風通しがよく、日当たりのよい二階に住んでいただくよう勧めています。反対に子夫婦は1階に住み、親たちに気兼ねすることなく、孫たちも走り回って活発に住むことができます。

 二階に住んでみると、なるほど見通しも日当たりもよく、洗濯物もよく乾きます。上の階からの孫たちのうるさい音にも悩まされません。しかも、地震時にも二階の方がよいでしょう。阪神・淡路大震災では多くの家の一階が座屈して倒壊し、逃げ遅れたお年寄りが多かったのです。

「病は気から、老いは足から」

 これは私がつくった勝手な標語ですが、二世帯同居をきっかけに早々に「年寄り気分」になり、一階に住むようなことはくれぐれもしないことです。

 人生80どころか、90の時代です。いつかいよいよ階段を上るのが辛くなったら、

「おい、そろそろお前たちと交換してくれ!」

 と言って、一、二階の寝室を交換するだけでよいでしょう。その頃には孫たちも立派に成長し、一階はほとんど空き家状態かも知れません。「親」だからと言って元気なうちから一階に住んではいけません。同居に限らず、二階で生活をしている老夫婦は足腰がちゃんとしていて、驚くほど元気です。

プロフィール

天野彰(あまの・あきら)

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。一級建築士事務所アトリエ4A代表。

「日本住改善委員会」(相談窓口・東京都渋谷区松涛1−5−1/TEL03−3469−1338)を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。「日本建築仕上学会」副会長とNPO法人「国産森林認証材で健康な住環境をつくる会」代表。

著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)、『地震から生き延びることは愛』(文藝春秋)、『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)、新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社 実用BOOK)など多数。

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