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2012年11月30日
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天野彰のいい家いい家族

あらためて「いい家」とは何でしょう?

文と写真:天野彰

写真:勾配天井のLDKの大空間(座間S邸)拡大勾配天井のLDKの大空間(座間S邸)

写真:一階にある趣味のアトリエ(同上)拡大一階にある趣味のアトリエ(同上)

写真:一階のサブリビングは将来、親たちのスペースに(同上)拡大一階のサブリビングは将来、親たちのスペースに(同上)

 「いい家」は時代ごとに変わります。今後の超長寿時代における「いい家」を考える際には、今までの住まいの良さとはいったい何だったかを思い出し、これからの住まいに何が必要かを改めて考えみることが大事です。

 一戸建てでもマンションでも、現代の家の間取り、建て方や工法、さらには水回り設備や収納などはモダンで機能的なものになっています。しかし、子育て用の間取りが多いことが気になります。実際にそこに住む家族は、高齢の夫婦や子育てが終わった夫婦の世帯が多くなっています。

 昨年の大震災の揺れや計画停電など耐震補強や節電対策など新たな問題も多く、さらに寿命が延び、超長寿社会のあらゆる現実が家族や住まいの現場に一挙に忍び寄っています。ますます深まる社会保障への不安と消費税増税など、ますます老後の不安が深まっています。

 そんな中、真に老後に強い家をつくり、リフォームするか。前回の「最期の家」づくりでも書いた通り、「老前」「老中」と続く長い老後の家は、「守りの家」であるとともに「活力ある家」にもしなければなりません。

 私と同世代の建主は、一人っ子同士の結婚も多く、90歳近い高齢の親御さん4人が健在のある夫婦は「自分たちはおちおち風邪も引けない」と言います。しかし、早い時期に自立のためのリフォームを済ませており、90歳でも元気に「家に生かされている」そうです。

 子どもたちのスペースは知人に貸し、少子高齢化時代を心した素晴らしいご夫婦がいます。当初はリフォームで「減築」して身軽に住もうとしていたようですが、双方のご両親の一方が欠けてなんとも不安になり、思い切って建て替え、一階の半分をセカンドリビングとして余剰スペースにしました。いずれ人に貸せるように独立した玄関も作れる構造にしました。

 老いに向けて「夫婦だけの瀟洒な家」の発想から一変、二階はリビングがある夫婦の家となり、一階は奥さまの趣味の店舗と同居・貸室可能なスペース付きの「壮大な建て替え計画」になりました。

 この家は予定通り自然素材を用い、無塗装の床や壁、そして開け閉めしやすい大きく開放できる窓と引き戸にして、極力間仕切りの少ない家と水回りにしました。収納と照明は手の届く範囲の限られたものにし、さらなる老いの生活を意識しています。

 こうした家のリフォームや建て替えとは、老いを迎えつつある自分たちと親たち、そして子どもたちの老いをも生き抜くためのものです。そんな予測と覚悟で家を考えて建てる、あるいはリフォームをする。「いい家」とはこうした避けられない本質的な問題を解決してこそ初めて生まれるのです。

プロフィール

天野彰(あまの・あきら)

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。一級建築士事務所アトリエ4A代表。

「日本住改善委員会」(相談窓口・東京都渋谷区松涛1−5−1/TEL03−3469−1338)を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。「日本建築仕上学会」副会長とNPO法人「国産森林認証材で健康な住環境をつくる会」代表。

著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)、『地震から生き延びることは愛』(文藝春秋)、『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)、新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社 実用BOOK)など多数。

天野さんへのご質問、ご意見は天野さんのホームページから

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