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東京・国立市の静かな住宅地に出来た明和地所の14階建てのマンションを巡り裁判が続いている。10月26日に東京高裁は、東京地裁の出した判決を覆して住民敗訴の結果になった。
裁判は国立という場所の景観を守ろうということから始まった。東京地裁ではマンションの7階以上は撤去すべきであるという画期的な判決が出た。日本の町並みは野放しの看板やビラ、広告塔で欧米に比べて汚いといわれている。そんな中で、国土交通省は今年の通常国会で「景観法」を成立させ、12月17日から(一部は来年6月から=04年3月27日の住まいのコラム参照)施行される。
こうした、国が地域の景観を守ろうという時に、東京高裁の判決は住民の努力を無駄にするのではないか、という声が出ている。住民もこの判決を不満として最高裁に上告しており、裁判が続いていく中で今回の判決の意味を考えてみた。
国立市の「大学通り」は一橋大学への道であり、文教地域として住民の誇りであった。この場所には東京海上火災保険(当時)の計算センターがあったが、引っ越すので跡地をマンション業者の明和地所(本社東京都渋谷区、東証一部上場)に売却した。東京海上も周りを木で囲うようにして環境に配慮してきた。
明和地所は14階建てのマンションを計画。ここに住む石原一子さん(東京海上跡地から大学通りの環境を考える会代表)らが反対運動を展開したが、市、都の許可を取って建設を始め、44メートルの高さのマンションを造った。ところが新しい市長が条例で20メートル以上のマンションの建設は出来ないようにした。このため、石原さんら住民50人はこのマンションは違法で撤去すべきであると東京地裁に訴えた。東京地裁は住民の訴えを認めて20メートル以上は撤去するように判決を出した。7階以上には22世帯が入居しており、どうするか大問題になった。
一審判決に対して明和地所は東京高裁に控訴した。東京高裁は「個々の国民または地域住民が私法上の個別具体的な権利・利益として、良好な景観を享受する地位を有する地位を有すると解することはできない。良好な景観の形成は、行政が主体となって組織的、総合的に整備されるべきである」と判断した。20メートル以上の撤去についても、市の条例は後に出来たので認められないとした。
国土交通省は裁判中ということもあってノーコメントである。しかし、12月17日から地方自治体が作る景観計画などは実施される。景観地区については来年6月からである。景観計画が出来るとその地区の建物の高さ、デザイン、色なども制限できる。今回の国立のケースも景観法が施行されていればもっと簡単に高さの制限が出来たであろう。しかし、建設の時は認めておいて造り始めたらダメというのも明和地所ならずともおかしいと思う。長年かけて築いた景観を守ろうという国立市の姿勢が毅然(きぜん)としていたら、明和地所にマンションの建設を認めなかったであろう。
今回の判決は最高裁で変わる可能性は十分ある。そうした中で必要なのは、市や住民がその地域の景観を守ろうという早い段階での行動であろう。企業が動いてからでは遅い。
(04/12/10)
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